壁男と扉子の画策により無事交際することになった二人。忙しい仕事の合間を縫ってなんとか休みを合わせ、ようやくデートの約束を取り付けた。成人済みの男女は一般的にはどんなデートをするのだろう。映画やドライブはベタすぎるだろうか。最後はレストランで夜景を見ながらディナーがいいだろう。日取りだけは決まったものの、七海はどこにいくのか決められずにいた。行きたい場所はあるかと彼女に聞けばいい話だとはわかっている。でも、初めてのデートは完璧なエスコートで楽しませたい。例の部屋での大失態を取り戻すべく、七海は必死になっていた。女性向けの情報雑誌には水族館デートが定番だと書いてあるが、彼女は喜ぶだろうか。後輩を使ってそれとなく聞き出そうとしてみるものの、有力な手掛かりは得られなかった。このままではノープランで当日を迎えることになる。これまで何度も脳内で妄想してきたはずなのに、いざとなるとまるで役に立たない己の妄想力を七海は恨んだ。
***
「七海はどこか行きたいところある?」
待ち合わせ時間三分前。黒ずくめではない彼女がやってきた。見たことのないヒラヒラしたスカートを履いている。睫毛はくるんとカールして目元は輝き、唇は潤んでいて艶やかだ。動きやすいからといつも束ねている髪はおろされ緩く巻かれており、仕事中の彼女とは正反対の装いに七海は倒れそうになった。自分のためにこうしてきてくれたのだとすると最高に嬉しい。それをなんとかして言葉に出そうと、口を開く。
「随分普段と違うから別人かと思いました」
「……今日のために冥さんが選んでくれたんだけど、やっぱりおかしかったね」
出会って四秒で表情が曇る彼女に焦った七海は、奥歯をぐっと噛みしめた。違う。そうじゃない。脳内の七海はこう言っていたではないか。
『可愛い。そういう恰好も似合いますね。今日のためにお洒落をしてきてくれて嬉しいです』
『ありがとう。七海もすごく素敵。なんだかドキドキしちゃうな』
見つめ合う二人。そして、キス。そういう流れだったはずだ。七海は頭を掻きむしって叫びだしたくなる衝動を抑えて、そういうつもりで言ったのではないと弁明した。ではどういうつもりなのか。それを口に出したらいいだけなのに、なぜかうまくいかない。長年拗らせてきた結果、どうも素直になれない。変な部屋のおかげで交際することができたのに、これでは付き合う前と何ら変わりない。七海の手がじっとりと汗ばんでいく。焦れば焦るほど、言葉が出てこない。脳内の七海はスマートに手を差し出してさりげなく恋人繋ぎまでやってのけているのに、現実の七海は視線を泳がせハァだとかヘェだとか、間抜けな声を出すことしかできない。そんな七海を見て彼女は少し寂しそうな表情をしながらも、早く行こうよと言って七海の手を自然にとった。あの部屋以降久しぶりに触れる彼女の手は温かく、爪の先は薄桃色に塗られていて、小さなラインストーンが煌めいていた。今日のこの日のために頭の先から爪の先まで可愛らしい装いをしてきてくれた事実が心の底から嬉しく、七海は涙が出そうになった。鼻の奥がツーンとして、目の周囲が熱い。己の感情に振り回され固まってしまった七海を見て、彼女が不安そうに眉を下げる。
「ごめん。はしゃぎすぎてるね、私」
「いや。別に。いいんじゃないですか。手ぐらい繋いでも。交際しているのだから。なんら不自然なことは無い。当然のことです」
早口で答える七海は耳まで赤くなっていて、照れているのだとわかった。いつもはスカした顔で口を開けば小言ばかりの七海だが、今日は年相応どころか中学生のような反応だ。ようやく握り返された手はごつごつして湿っていた。相当緊張しているらしい七海がなんだか可愛らしく思えて、彼女はくすくすと笑った。そんな彼女を訝しげに見て、七海は眉間に皺を寄せた。
「プラネタリウムに行きたいんだけど、どうかな」
「わざわざ昼間の室内で人工の星を見る、と」
「カップルシートっていうのがあって、二人でゆっくりくつろぎながら見られるって、テレビでこのあいだ、やってたから……」
彼女の声が徐々に小さくなっていくのを聞いて七海はまたやってしまったと膝をついて項垂れたい気持ちになった。そうではないのに言ってしまう。長年の癖がなかなか抜けない。彼女を必死に遠ざけようとしてきた過去の自分を七海は脳内でボコボコに殴った。お前のせいで、心にもないことを口に出してしまうではないか。現実七海の台詞を脳内七海が言い直す。
『満天の星空をアナタと共に眺めるのは、きっとロマンチックでしょうね』
満点の返答である。これをそのまま言えばいい。わかっていても口から何も出てこない。なんとか良さそうな言葉を絞り出す。
「行きたくないとは言ってない。そのカップルシートとやら、試してみる価値はあるでしょうね」
「さっきから何なのいったい。今日すごく楽しみにしてきたのに、私だけ浮かれてて恥ずかしい!」
ついに彼女は繋いだ手を離してそっぽを向いてしまった。当然だ。こんなとき脳内七海はどうするか。跪いて手を取りキスをして許しを乞う。きっとこれが正解に違いない。わかってはいるが行動に移せず、七海は彼女の肩を力いっぱい掴んで向き合った。痛いと文句を言われたが構うこと無くそのまま続ける。
「いや待て。違う。怒らないで。私も楽しみにしてる。本当です」
「いいよもう。とりあえず行ってみよう。七海は照れておかしくなってるんでしょ……」
「……おかしく、なってる。どうしようもない。緊張もしてる。でも今日をずっと待ち焦がれていた。会いたくて仕方がなかった。信じてください」
「もうわかったから、離して……。みんな、見てるから……」
真っ赤になって俯く彼女の旋毛の可愛らしさに見とれている場合ではない。ライオン像の前で吠えていたら誰もが振り返る。辺りを見回すと、二人はすっかり注目の的になっていた。真っ青になった七海が彼女の手を引いて小走りで立ち去ると、関心を失った人々はすぐにばらばらと歩き始めた。出鼻をくじかれたような気がしないでもないが、なんだか心地よい胸の高鳴りがある。何度も空想してきた初めてのデート。絶対に良い思い出にするんだと七海は意気込み、足を早める。七海に引っ張られながら彼女は幸せな気持ちを噛みしめていた。遠回りしたけれど、七海と共に歩む道は楽しいものに違いないと確信したからだ。
***
「ほんとごめん。予約してたらよかった。折角来たのに……」
ペコペコと頭を下げる彼女の揺れる耳飾りを見ながら七海は思う。何をしていても最高に可愛い、と。話しなんて頭に入って来ない。
「別に何をしようがどこへ行こうが問題ない。ちょっとここに座って」
都会の映えスポットともなれば、休日は予約必須である。プラネタリウムは朝から晩まで予約でいっぱい。キャンセル待ちも多数で今日は入れそうにない。がっくりと肩を落とす彼女を慰めるべく、七海は近くのベンチに座らせた。それからスタスタとどこかへ歩いていったと思ったら、両手に紙カップを持って戻って来た。砂糖がたっぷり入った甘いカプチーノを彼女へと手渡し、拳二個分ほど不自然な隙間を開けて隣へと腰掛ける。
「何かしなくてはと焦らなくても、また休みを合わせて来ればいい」
「そうだね。今日は散歩でもしよっか。七海は行きたいところとか買いたいものとか、ある?」
彼女から距離を詰められ、二人の身体が密着した。七海の全身に緊張が走る。彼女の方はというと、平気そうにカプチーノを啜っている。ちょんと尖った唇がくちばしみたいで可愛らしい。そのまま口付けてしまいたい衝動を何とか抑え込み、七海が言う。
「……コーヒーカップを買おうかと」
「割れたの?」
「いえ、来客用に」
七海の返答を聞いて、彼女は少し考えてから答えた。
「じゃあブランドのやつがいいのかな」
来客用のコーヒーカップといえばソーサーもセットになったものがいいだろう。七海の家のインテリアがどんなものかはわからないが、きっとシンプルで落ち着いたカラーが合うに違いない。彼女の頭の中にいくつかのブランド名が浮かんだ。待ち合わせをしていた百貨店の中に入っているはずだ。彼女が最初に合った場所まで戻ろうと提案するため七海の方を向くと、口をへの字に曲げてなぜか不機嫌そうな表情の男が真っ赤になっていた。
「いや、アナタが気に入ったものがあれば、それで」
「私、キャラクターものが好きだから七海の家に合うかなあ。お客さんびっくりするんじゃない?」
貴女のセンスに任せる、と投げられたようで彼女は少々戸惑った。普段の服装や持っている小物などを見るに、明らかに七海の方が洗練されている。日本人離れしたスタイルで奇抜な色のスーツを着こなしている七海の自宅に合うようなものを選ぶ自信はない。
「好きなものを買えばいい。……アナタが使うんだから」
「私用ってこと?」
「ストレートに言うと、そうです」
ぼそぼそと囁くように言う七海の顔はますます機嫌が悪そうだ。眉間に刻まれた皺は更に深く、尖った鋭い視線が彼女に突き刺さる。なぜこんなにも不貞腐れているのだろう。彼女はだんだん腹が立ってきた。照れ隠しもいいが、少々度が過ぎる。これでは交際前と何ら変わりない。拗らせアラサー脳内妄想爆発男の言うことなどいちいち真に受けていても仕方がないのだが、彼女もまた、長年の関係を簡単に変えるのは困難であるとわかっている。わかっていても尚、文句の一つくらいは言ってやりたい。
「……最初からストレートに言いなよ」
「それが言えないから自分でも困ってる。なぜそんなに平気そうなんですか。不公平だ」
最早七海は開き直っていた。そんな七海の呆れた言い分を聞いて彼女が言い返す。
「なんで七海が怒るの? 私って平気そうに見えてるんだ」
十年来の片思い相手との初デートで緊張しないわけは無く、勇気を振り絞って今ここにいる。少しでも可愛いと思われたいからしたお洒落は褒められず、頑張って繋いだ手が握り返されたのはずいぶん時間が経ってから。下調べをして見つけたデートスポットも空振りに終わり、行く当て無く都会のベンチで時間をつぶしている。予定では、今頃プラネタリウムで盛り上がり、ぐっと距離が縮まっていたはずだった。暗闇に紛れてカップルシートで指を絡ませ、気分が盛り上がったところでそのままホテルでもいいだなんて生々しい妄想までしていたのに。蓋を開けてみれば学生のような健全デートなうえに、親密さが増すことも無く時間だけが過ぎていく。
「怒ってない。先に手を繋がれ、明確なデートプランもあり、今だってこんな風に密着してくる。こっちは前の晩眠れなかった。今も手汗が止まらないんですが」
「平気なわけないでしょ。ドキドキしてる。触ってみる? 心臓バクバクしてるから」
七海のおかしな態度が照れ隠しであるということを彼女はもう一度頭の中で考えた。長年の両片思いを拗らせていた二人がおかしな部屋で無理矢理セックスやキスをしたせいで、修復不可能なまでに複雑化しているようだ。恐らくこの関係を正常に持っていくのには時間がかかるだろう。壁男も扉子も高専外に出ることはできず、もう誰の助け舟も無い。これからは自分たちでなんとかするしかないのだ。
「こんなところで触れるか。もういいからさっさとコーヒーカップを買いに行こう。それから、昼はどうしますか。食べたいものは」
七海は胸を押さえる彼女を横目で見ながら大きな溜息を吐いた。
「冥さんがこういう時は、可愛くパスタ♡って言えばいいって言ってた」
「ではアドバイス通りにしましょう」
持つべきものは頼れる先輩である。この二人だけでは長年かけて形成された関係の拗れを簡単に解決できない。誰でもいい。この二人をなんとかして欲しい。壁男と扉子の想いは高専中に広まり、関係者にほんの少し影響を及ぼしていたのだった。
***
彼女好みのマグカップをペアで揃え、昼食は写真映えするイタリアンを食べ、本屋へ寄り、カフェで休憩していたらすぐに夕方になった。このまま夕食も共にしたかったが、生憎彼女は明日早朝より仕事の予定があるのだという。無理をさせてはいけないと、なかなか帰りたがらない彼女を説得して駅へと向かう。道中ボールペンが無いだの、お腹が空いただの、ことあるごとに理由を付けては寄り道する彼女を見て、七海はもどかしい気持ちと戦っていた。大人のデートの最後、一般的にはどうしているのだろう。脳内七海なら夜景が美しいホテルディナーのあと、スマートに胸ポケットからキーを出すはずだ。
『部屋を取ってあるんです。アナタと一晩中愛を語り合いたい』
『嬉しい。大好きだよ、建人』
見つめ合う二人。どこからともなく出てくる花束。そして、キス――。
「今日はありがとう。楽しかった。本当に。ここまででいいよ。うち、駅からすぐだし」
七海が脳内妄想を繰り広げているといつの間にか目的の駅に着いてしまった。彼女が名残惜しそうに七海を見つめ、さようならの挨拶をした。ついにタイムリミットだ。朝から夕方まで二人で過ごしたのは高専以来になる。お互いに離れがたいと思っているが、これ以上の誘いを口にできないでいた。もっと、ずっと、一緒に居たい。キスをしたり、肌を重ねたりして、愛を紡ぐ。端的に言うと朝から晩までセックスしたい。二人とも同じ気持ちになっている。けれど、プライドが邪魔して素直になれない。初デートでセックスだなんて、倫理に反しているだろう。
都会の駅は人だらけなのにやけに静かだ。意味のあるものなんて二人以外に何もないと思ってしまう。二人を避けて足早に去っていく人々は、これからどこへ行くのだろう。愛する人が待つ家に帰るのだろうか。それとも、これから恋人に会いに行くのかもしれない。
「次の休みは」
「金曜だけ」
七海のぶっきらぼうな問いかけに、彼女も短く返事をする。
「私は木曜。その次は、しばらく無さそうだ」
「そっか。わかってたけど、休み全然合わないね。……また連絡する」
困ったように眉を下げて彼女が手を振った。楽しい時間は一瞬にして過ぎ去り、次の約束もできずに別れてしまうなんて悲しすぎる。咄嗟に七海が彼女の手を取った。引き止めてはいけないと思っていたのに、衝動的な行動に七海は自分でも驚いた。
「もういっそ、一緒に住めばいいのでは。コーヒーカップも買ったことですし。部屋がひとつ余ってる。ダブルベッドが嫌ならもう一台買えばいい。クローゼットもまだまだ余裕が――」
「ねえ七海、焦り過ぎ」
必死になって弁舌をふるう七海を見て彼女はぽかんと口を開けた。そんな彼女を見て、七海は自分の思いが何一つ伝わっていないのだと更に口を開く。
「休みを合わせるより手っ取り早い。合理的だから提案したまでです。それともなんですか。アナタは別に、このまましばらく会えなくてもいいと」
「会えないのは寂しいけど、急すぎるよ」
「家の片づけは私がやるし、料理もできる。同職だから仕事への理解もある。腹を出して寝ていようが鼻毛が出ていようが構わない。一緒に暮らしたほうがどう考えても理にかなっている。わかるでしょう」
七海が一歩また一歩と彼女に詰め寄っていく。鬼のような形相で彼女を壁に追いやった。いつものように説教でもされている気分になってくる。また怪我したんですか。なぜ助けを求めない。報告書が遅いと多方面に迷惑をかける。バランスよく食べないと身体に悪い。聞いていますか。知らんふりするな。
「もうわかった。わかったから、落ち着いて」
「何もわかってない。わかってるとは言うくせにイエスと言わないじゃないか」
胸倉でもつかまれそうな勢いだ。七海は耳まで真っ赤になりながら息を荒げていた。あまりの剣幕になんだか七海が可哀想になってきた。会いたい。寂しい。一緒に住もう。言葉にすると単純なのに、それが言えずに苦しんでいる。確かに七海の言い分もわからないわけではない。それでもすぐに返事ができないのは、自分のいい面だけを見せたいという見栄がある。生活を共にすることで幻滅されるのではないかという恐れがある。せっかく恋愛関係になれたのに。もう二度と離れたくないのに。七海に嫌われたらどうしよう。そんな保身めいた考えが彼女の頭の中をぐるぐると駆け巡る。言い方は回りくどくても、今回ばかりは七海の方が素直である。
「いきなり同棲って、すぐには決められないよ」
「いきなりもクソも、いつかそうするつもりなら多少早まっても問題無い」
早く首を縦に振れと凄まじい圧力で迫る七海をなんとか躱そうとしてみるが、ハイと言うまで離してくれそうにない。
「うーん。何言ってもダメっぽい」
「人をわからず屋みたいに言うな」
答えはもう決まっているけれど、今日のところは答えを先延ばしにしておこう。恋には駆け引きも必要だという言い訳を添えて。
***
押し問答を続けながら二人は電車を乗り継ぎ、彼女の住むマンションまできていた。オートロックの玄関を開錠すると、当然のように七海が着いてくる。自宅の扉の前で礼を言おうと彼女が振り返ると、すぐ目の前に七海の鼻筋があった。
「最後にキスがしたい」
鬼気迫る表情で七海が言う。昼間と同じく耳まで赤い。口はへの字で眉間の皺は過去最高に深く、取って食われそうな勢いがある。これからキスをしようという人間から出るはずの無い尖った雰囲気を纏いながら七海は彼女に詰め寄った。
「そんなことしちゃったら、帰りたくなくなるでしょ」
「そのまま連れて帰るから好都合」
犯罪者を取り押さえるかの如く七海が彼女の顎を掴む。もちもちとした頬の肉が指に吸い付くさまを見て、このまま唇を貪り食いたい気持ちになった。ぐにゃりと潰れた頬とアヒルのようにとがった口を七海は慌てて力を緩めた。アイタタ、と言いながら彼女はわざとらしく頬を撫でた。なんだか嫌そうには見えない。
「急に積極的だね……」
「今日に至るまで何年もかかった。全部やり直して失った時間を取り戻す。もう後悔はしたくない」
七海が言い終わったらすぐ、彼女が目を閉じた。二人の唇が静かに重なると、辺りは時が止まったかのような静寂に包まれた。何年も、恋焦がれてきた。何度捨てても惜しくなって戻って拾い、諦めようとしてもできなかった初恋。噛みしめるようなキスをしたあとは、そのまま抱きしめてしまいたい。でもそんなことをしてしまったら、このあとの寂しさに耐えられなくなりそうだ。二人の唇が名残惜しそうに離れていく。今日はここまで。続きはまた会う日までおあずけだ。
玄関扉が閉まったことを確認して、七海が歩き始める。右手には彼女が選んだキャラクターもののペアカップが入った紙袋を下げていた。確かに七海の自宅には無いタイプだ。今まで知りもしなかった猫のゆるキャラが急に愛しくなってきた。どことなく彼女に似ている気さえする。
今度会うときは、自宅に誘ってもいいだろうか。そんなことを考えながら、空を見上げる。都会の夜空に星はない。昼間の室内で眺める星も、水槽に閉じ込められた魚を見るのも、彼女と一緒ならなんだって悪くない。