七海さんちのワンオペ育児

第11話

 七海は疲れていた。久しぶりに妻が一人で遠方へ連泊の出張任務へ行っているからだ。結婚して子をもうけてからというもの、職場にはそれなりの配慮をしてもらっていたため妻のこういった機会はかなり減っていた。それでも妻でないと対応できない案件であるときは出て行かねばならない。夫と幼い子を残していくのは少々心配だった。なにせ子どもが四人もいる。四女は最近歩き始めたばかりで目が離せない。三女はのんびりしているが突拍子もないことをやってのける。次女は活発で実は一番手がかかる。長女はあまりにしっかりしていて面倒見がよく、負担が大きいのではと気がかりだ。七海は体力もあり家事育児でできないことはないが、大人一人で幼児四人を相手にするとなるとどう考えても手が足りない。最近は一人がイヤイヤを言い出すとみんな揃ってイヤイヤの合唱が始まるので妻も七海も疲れ果てていた。一人が泣き出すと寄ってたかってワアワア騒ぐ。一人が笑うとみんな揃ってゲラゲラ笑う。おもちゃの取り合いの喧嘩やチャンネル争い、トイレの行列など毎日がお祭り騒ぎだ。そんな子どもたちも保育園では聞き分けがよくいい子の見本のように過ごしているらしい。しかし家に帰ると大暴れ。先生曰く、おうちで我慢せずに自分を出すことができていて親子の信頼関係がしっかりできていますね、だそうだ。子どもが素直に喜怒哀楽を表現できていることに喜ぶ一方、怒と哀は親を疲弊させる。感情表現も成長の証であるとわかってはいるものの、それとこれとは別で疲れるものは疲れるのだ。妻が不在のここ数日、七海は寝かしつけと同時に寝落ちする日々が続いていた。明日ようやく妻が帰ってくる。一分一秒でも早い帰宅を七海は祈って子どもたちの背中を順番にトントン叩いた。早く寝てくれと願いながら……。

 出張を終えて帰宅した妻は勢いよく玄関を開けた。いつもきれいに並んでいる靴はぐちゃぐちゃで保育園バッグは放りっぱなし。奥の部屋から大きな声で騒ぐ子どもたちの声が聞こえるし、何か焦げたような臭いもする。それに「いいかげんにしなさい!」と珍しく七海が声を荒げているようだ。これは大変だっただろうと散らかった靴をなおしてリビングへと入る。

「ただいまー!」
「おかえりー!」

 久しぶりの母の登場に子どもたちは一気に沸いた。我先にと押し合いへし合い母の元へと駆け寄り、キャアキャアと喜んでいる。全員が何かを訴えていて一斉に喋るので、誰が何を言っているのかさっぱりわからない。足元に絡みついて大喜びで跳ねまわり手や洋服を引っ張ってそれぞれが母の気を引こうとしている。久しぶりに妻の顔を見た七海は心底ほっとした。ヨロヨロと力なく妻の元へと来ると、足元の子どもたちを避けながら妻をぎゅっと抱きしめる。

「おかえりなさい……」
「ただいま。疲れてるね。大丈夫?」

 長身を折り妻の首筋に顔を埋めて小さな声で「子どもたちが元気過ぎます……」と呟いた。そんな七海を妻は力強く抱きしめて「お疲れさま。ありがとう」と礼を述べた。五日ぶりのハグをする両親を見て、子どもたちも全員両手を上げて抱っこをせがむ。我先にと順番争いをする子どもたちを七海はチラリと見て、喧嘩が始まる前に離れた方がいいと思った。もっと妻を堪能したいがそれは後回しだ。まずは興奮状態にある四人の小さな怪獣たちを落ち着かせなければならない。気持ちを切り替えた二人の身体が離れたとき、妻の視線の先にとんでもないものが飛び込んできた。

「あーーーッ! 建人ー! 壁に落書きされてる!」

 妻の大声に驚いて振り向くと、いつの間にされたのかリビングの壁の一角にお花畑が描かれていた。色とりどりの花がたくさん咲いていて、これはどう考えても一人だけの犯行ではない。各々の服についたペンの染みがその証拠だ。この場にいる全員で書いたのだろうと妻は子どもたちに目線を移すと上の子三人は悪事がバレたとでも言わんばかりに顔をしかめた。まだよくわかっていない四女はキャッキャと声を上げて再びペンを手に壁へと向かって行く。そんな四女を捕まえて制しながら七海は力なく言う。

「これはまた派手にやりましたね……」
「感心してる場合!? 消えないんじゃない!?」

 ぷりぷりと怒った妻は子どもたちを並べて注意しはじめた。帰ってきて早々目にしたものが落書きだらけの壁で一気に疲れが増した気がする。四女は七海に抱かれながらペコペコと頭を上下させてはいるものの、あまり意味をわかっていないようだ。三女はにこにこ笑いながら一応「ごめんなさい」をしてペンをケースに仕舞い始めた。次女は私は全然悪くないと言い出しそうな顔で形だけの「ごめんね」をした。長女はしゅんと小さくなって「ごめんなさい……もうしません……」と言って深く反省し涙ぐんでいる。

「お絵描きは自由帳にする約束をしましたよね」

 七海が念押しでもう一度言うと、子どもたちは声を揃えてごめんなさいの合唱をした。もっとも、きちんと理解しているのは長女だけのように見える。次女はもうお終いだとばかりにパズルで遊ぼうとしているし、三女はにこにこ笑っていた。抱っこされたままの四女は七海のネクタイを引っ張って取ろうと必死になっている。このような状況で何度も同じことを言っても仕方がない。しつこく責めるのは、親がすっきりしたいからに他ならない。きっと子どもたちはわかってくれただろうと七海は気持ちを切り替え、夕食の準備へと戻る。妻もそれに加わり、キッチンに並んだ二人は近況を報告しながら夕飯を作った。

 また別の日。昼で終わるはずの仕事が長引いた七海が夕方帰宅すると、ダイニングテーブルにぐったりと倒れ込んでいる妻を見つけた。小さな声の「おかえり……」のあと、ゲンナリとした表情で力なくつぶやく。

「鶏そぼろは二度と作らないで……」
「どうしたんですか。そんなに疲れて」

 先日保育園の昼食に出てきたという鶏そぼろ。帰り道で給食の感想を尋ねたらすごくおいしかったと子どもたちが喜んでいたので、七海は昨日の夜遅くタッパーいっぱいに作っておいた。そぼろだけでは味気ないと炒り卵とほうれん草の準備も忘れない。

「みんなたくさん食べたけど、ポロポロこぼして掃除が大変だった……」

 遠い目でそう言いながら床を指差している。掃除したそうだが、取り残されたそぼろと卵とほうれん草がところどころに散らばっている。たしかにそぼろはこぼれやすい。しかし自分の作った料理でこんなにもがっかりされたら少し悲しい気持ちになる。それを察したのか、妻は「すごく美味しいんだけどね」と付け加え、ほとんど手が付けられていない自分の丼を食べ始めた。

「そぼろどん、おいしかったねえ」
「にかいも おかわりしたよ!」

 すでに食べ終えた子どもたちは大喜びでニコニコしている。今までで一番おいしいからお父さんも早く食べた方がいいと子どもたちに勧められ、七海はラップが掛けられた器をテーブルに運んだ。

「こんなに喜んでいるのに……」
「じゃあ建人が食べさせる時だけにして」

 妻が不貞腐れながら言うので七海は少々申し訳ない気持ちになった。立場が逆だと自分も疲れていたかもしれないと思い「お疲れ様です」とねぎらいの言葉をかける。妻は口をモグモグさせながら目を輝かせ「うん、これはおいしいわ!」と喜んだので七海も嬉しくなって笑った。

 本日のメニューは三食丼とたまねぎのみそ汁とコールスローだ。二人は食事の準備が楽になるようにと普段から作り置きしている。総菜や弁当を買って済ませることもあるのだが、料理は七海の趣味でもある。材料を選んでいるとき、下ごしらえをしているとき、お気に入りの食器に盛り付けているとき、美味しいと言ってもらえたとき。料理は各工程それぞれに楽しさがあって、それが七海の気分転換になっていた。ここのところ必ずどちらかの帰りが遅かったので、生活の助けにもなる良い趣味だと妻は思っている。

「建人と結婚してよかった! 毎日美味しいごはんが食べられるから」
「食事以外にもメリットがあるはずですが」

 七海は腑に落ちないと目を細めたが、妻は全く気にする様子はなくパクパクと三食丼を食べすすめる。子どもたちは我関せずといった様子で中断させられたお絵描きを再開していた。

 さらにまた別の日。七海が保育園へ四人の子どもたちを迎えに行った帰り道。抱っこしてくれと言ってきかない三女は七海の腕の中で今日の体操教室でやったことを一生懸命説明していた。長女が四女と手を繋ぎ父の前をトコトコと行く。小さな命がさらに小さな命を守ろうと妹を端に寄せて歩く姿を微笑ましく見守りながら、足元をうろちょろする次女に注意を払う。なんでもない小石を見つけてはしゃがみこみ、ペットボトルの蓋を拾ってポケットに入れようとする。何かよくわからない木の実のような物体を四女に押し付けようとしているのを制止したら、キャハハと笑って走り出した。白線を超えて道路に飛び出すものだから咄嗟に腕を掴んだ七海は、次女をたしなめる。

「道の端っこを歩きましょう」

 全く反省した様子はない「わかってるー」を聞いて七海は何とも言えない気持ちになった。ここで感情的になってはいけない。売り言葉に買い言葉で言うことを聞かないことは明白だ。うまく端を歩きたくなるように誘導しなければならない。またはどうして端に寄らないといけないのか理由を説明して理解を求める方がよいか。そうこうしているうちに次女がまたフラフラと道路の真ん中へと吸い寄せられていった。そこには十円玉が落ちていて、お金があったと驚いている。

「端に寄って。車が来るから危ないよ」

 七海の言葉は全く耳に入っていないようで、次女は姉と妹たちに向かってこっちにおいでと手招きして呼び寄せようとし始めた。再度同じことを言ってみる。どうして道路の真ん中に出てはいけないのかという理由も伝えたつもりだ。それでもなお次女は七海の言葉などまるで耳に入っていないとでもいうようにおいでおいでと繰り返す。ついにふらふらと四女が歩き始めたので、さすがの長女がそれを止めた。次女は誰も来ないのでむっとしてその場から走り出す。そのとき、帰宅途中の高校生たちが自転車でこちらへ向かっているのが見えた。

「端に寄りなさい。自転車にぶつかります」

 もう一度七海は次女に伝えた。自転車の方へとチラリと視線をやったと思えば、途端に長女の方へと駆け出した。なんとか高校生が避けてくれたものの、気づかれていなければ轢かれていただろう。ほら言わんこっちゃないと言いたくなるのをぐっと堪え、七海は次女へ駆け寄り怪我はないかと問う。ここで「だから言ったのに」などと言おうものなら自分の思うようにいかなかったと捻くれて余計に事態は悪化するからだ。四歳から五歳は言葉の発達が著しく、理解力もどんどん伸びていく。それゆえに今自分がやりたいことが満たされないときに不満や不安が爆発してしまう。言葉にして伝えることができるので”今自分がやりたいこと”を言ったのに親がさせてくれないという葛藤から、感情が抑制できなくなるのだ。理論ではわかっている。しかし現実的に危険が迫ってきているとき、それを踏まえて瞬間的に判断して言葉を選ぶことは難しい。次女は素っ気なく「してない」とだけ言って拾った十円玉を長女に見せた。長女と四女が汚れたコインを見て何やら言っている。白線から未だにはみ出している次女を端に寄せようと思ったと同時に、前方からスクーターがやってきた。慌てて七海が大きな声を出して言う。

「端に寄って! 危ない! もう三回目です!」

 強い口調になってしまったと、声に出してから七海ははっとした。でもそのおかげか長女がスクーターに気付き、次女を白線の内側に引き入れた。運転手も子どもの存在に気付いていたようで避けてくれたが、もしあのままお互いに気付かなければどうなっていただろう。七海は大きなため息を吐いた。ここのところの次女の行動は目に余る。成長発達によるものだと理解していてもやりきれぬ思いが胸にわきあがってくるのだ。そんな少し疲れた様子の父を見て次女は元気よく言った。

「よんかいめだよ!」

 手で四を作って七海に見せている。

「わかってるなら端に寄って……」

 回数などどうでもいい。言われたらすぐに端に寄ってくれと七海は思った。

 しばらく歩いていると抱っこされていたはずの三女が歩きたいと言いはじめた。すると四女が抱っこと言うので二人は交代した。子どもたちは保育園で今練習しているという季節の歌を大きな声で歌いながら歩いている。あまりにも元気が良すぎる歌声を聞いて七海は「アリさんの声にしましょう」と注意した。なんとかうさぎさん程度には小さくなった子ども四人の元気な声が夕暮れ時の住宅街に響く。道行く人々はなんと微笑ましいことかと温かい気持ちになって親子を見守った。

 少ししたら抱っこに飽きた四女が歩くと言うので七海はそっと降ろしてやった。三女のお下がりである光るスニーカーをピカピカさせて一人で歩き始めたので七海はその小さくて暖かい手をそっと握る。

「おてて繋ぎましょうね」
「いやー」

 一度は握り返してくれたものの、するりと四女の手が離れていった。

「お父さん、おてて繋ぎたいです」
「いやだ しない」

 なんとか繋いでもらおうとして言ったが、嫌だと言うので少し悲しい。わかっている。イヤイヤ期真っただ中であると。二歳児は身体も心も成長してきてやりたいことは増えるがまだまだうまくできない事の方が多い。それでも”自分でやりたい”気持ちの芽生えがあるので、親にああしろこうしろと言われても聞き入れられないのだ。わかっている。二歳児のイヤは拒絶ではない。七海は心の中で二歳児の発達について反芻し、アプローチを変えてみる。

「ほら、転けたらイタイしてエンエンしますからね。手を繋ぎましょう」
「いやぁー!」

 もちろんこうなることはわかっていた。わかっていたが釈然としない。言うことを聞かないのではない。自分の思い通りにしたい年頃なのだ。しかし全部許すわけにはいかない。危険なことや社会のルールを教えなくてはならないからだ。もちろんすべて理解してすぐに行動に移すことができるとは思っていない。根気強くやる必要がある。そう。わかっている。一度言ってすぐ聞き入れられるわけはないと。そうこうしているとフラフラ歩いていた四女は何もない所で派手につまずき転んでエンエンと泣き出した。七海はやれやれと転んだ四女を立たせてやった。どこも怪我はないようだが転んだことに驚いて感情が昂り、ぐにゃぐにゃしながら七海の手を振り払う。そして七海は言ってしまった。

「こうなる前に次からはお父さんとおててを繋ぐこと。わかりましたか」

 七海は言葉にしたあとに悪手だったと気付くがもう遅い。全力でイヤイヤ期を炸裂させた四女は道路に座り込んでワンワン泣き始めた。

「いやいやいやぁー!」

 三女はぽやぽやと見つめながら我関せずな顔をしている。次女はつられてワアワア騒いだ。長女は下唇を突き出して苦笑いをした。ついさきほどまで機嫌よく歌っていた四人が今やバラバラになって好き勝手している。こうなっては何をしても何を言っても無駄で、しばらくほとぼりが冷めるのを待つか、無理矢理抱きかかえて走り去るかしか選択肢はない。幸いすぐそこの角を曲がったところに自宅がある。これ以上公衆の面前で騒ぎ続けるわけにはいかないと思った七海は泣き叫ぶ四女とぼんやりする三女を抱えてのしのし歩いた。次女は待て待てと楽しそうに父を追いかけ、長女は父譲りのため息を一つ吐いて後を追う。七海は途中で何度も後ろを振り返っては上の子二人が付いて来ているのを確認した。オートロックのインターフォンを素早く押す。

「おかえりー」

 呑気な妻の声が聞こえると同時に自動ドアが開いた。

「あれー。喧嘩でもしたの?」

 スピーカー越しに聞こえる阿鼻叫喚について妻が何か言ったが、エレベーターへ一目散に向かう七海には聞こえていなかった。

 なんとか一日を終え布団に入ったと思えばすぐに目覚まし時計が鳴る。体感時間は五分なのに時計の針は翌日の七時を指している。七海は朝の支度を終えて子どもたちに服を着せようとリビングへ向かった。三歩歩いたところで足の裏に激痛が走った。この痛みには悲しいことに覚えがある。ブロックを踏んだのだ。

「誰ですかブロックを出したままにしてるのは」

しかもこの感じ、大きいパーツではない。小さいパーツの方が体重が一点に集中するせいかより痛みが強い。七海が足を退けるとそこにはリビングの床とよく似たブラウンのパーツが転がっていた。よくみるとまだいくつかブロックが転がっている。昨日寝る前、確かに全員で片付けたはずなのに見落としがあったのかもしれない。七海の問いかけに誰も何も答えずきょとんとしている。

「怒らないから正直に言うこと。ブロックを片付けなかった人は誰ですか。お父さんの足に刺さりました」

 茶色い小さなブロックをつまんで子どもたちへ見せるが誰も覚えがないという顔をしていた。

「わたしたちじゃないよ」
「そんなわけないでしょう。ブロックはあのマットの上でやる約束をしたはず。今なら怒りません。正直に名乗り出てください」

 長女と次女は口を揃えて違うと言うが、昨夜ブロックで遊んでいたのはあの二人だ。飛行機か船、どちらを作るか散々揉めていたのを仲裁したのは七海だからだ。それに時折、ブロックがどこからともなく出てくることもある。

「ちがうもん! みんなでねるまえに ぜえーんぶ、かたづけたもん!」
「マットのうえでやったもん!」
「ナイナイした!」

 わけもわからないまま四女までもが参戦してきた。三女はまるで他人事のようにソファでお人形遊びをしている。子三人対七海一人。数の力に負けてはいけないと七海は心の中で呟く。どう考えても子どもたちがしまい忘れたに違いない。ごめんなさいをして次から気を付けますと言うことができれば、これ以上の追及はしないと七海は決めた。それを伝えようとしたところ、キッチンから妻が何かを思い出したように「あっ!」と言った。

「ごめんそれ多分私だ」

 えへへ、と笑いながら誤魔化そうとしている。

「……夜更かしして何をしてるのかと思ったら」
「お城の作り方動画見てたら夢中になっちゃった」

 ジャーン! と効果音まで付けて窓際に飾られたブロックの城を指差した。なるほど、よくできている。いや違うそうではない。遊んだら片付ける。日頃七海と妻が子どもたちに何度も注意しているのに。七海は大きな溜息を吐いた。子どもたちのじっとりとした視線が七海に絡みつく。妻はあっけらかんとして「ごめんね」と言った。七海は子どもたちに向かって決めつけて疑ってしまったことを謝り、ブロックを掲げて高らかに宣言する。

「みんないいですか。遊んだら必ずお片付けですよ」
「はぁーい!」

 七海家には年子の女の子が四人いる。毎日がお祭り騒ぎだ。今日もまた忙しないが幸せな一日が始まった。