水分たっぷりポテトサラダ

第3話

 七海から「ポテトサラダはどうでしょう」と提案されてから二週間。お互いの予定が合わずすれ違い続けた二人は三日に一度はポテトサラダを食べており、正直に言うともう飽きていた。それでもテーマに沿った最高のポテトサラダを食べてほしいと思い、毎日試行錯誤を繰り返す。彼女は惣菜店のポテトサラダを買っては食べて、プロの味を盗もうと一生懸命だった。それから前回の失敗と七海のアドバイスを元にレシピ通りに作るよう心掛けた。自分で作るとどうも味がハッキリせずにぼやけてしまう気がする。お店で買ったものは王道のマヨネーズがしっかりと効いていながらも、その店独自の味付けになっている。どうもそれはただマヨネーズを混ぜればいいというものではないらしく、何か隠し味がありそうだ。その謎を解き明かすべくアマゾンの奥地へと何度も足を運んだのに、結局答えは見つからないまま当日を迎えた。

「もうやるしかない。大丈夫。私ならできる」

 彼女は独り言が多い人間だった。一人暮らしが長いせいでぬいぐるみやテレビに喋りかけるだけにとどまらず、相手もいないのに考えていることが口に出るのだ。
 それはさておき、ポテトサラダを作ろう。材料はじゃがいも。それから彩りに人参、きゅうりを入れることにした。前回は材料の選び方で失敗したので、今回は超王道で攻める。もちろん一流のものは使うつもりだ。普段は足を踏み入れることのない高級スーパーでブランド品種のじゃがいもを選んだ。新じゃがいもと普通のじゃがいもがあったので、迷わず新しいほうを選んだ。どんなものでも新しい方がいいに決まっている、という理由だ。人参は有機栽培で素材本来の味がしっかりしていると書いてある。きゅうりはイボが尖っているものが鮮度がよいらしく、三十分かけて選び抜いたきゅうり界のエースを抜擢する。ハムは前回同様精肉店で購入したものだ。しかし安心してほしい。店員に「ポテトサラダに入れたい」と要望を伝えるとスーパーでよく見るタイプのロースハムを薦められたので、こちらも間違いないはずだ。味の決め手のマヨネーズに関しては、有名メーカーからポテトサラダ用が出ているという噂を聞きつけ、スーパーを三店はしごしてついに見つけた。専用なのだから絶対にどんなポテトサラダにもマッチするだろう。
 もちろん、一流のレシピ通りに作る。ミシュラン三ツ星ホテルで修業を積んだシェフが出しているレシピ本を手に入れてある。ホテルメイドのポテトサラダなので相当凝った造りだと思うだろう。それが家庭的でオーソドックスなものだから、間違いなく信用できる。
 材料、完璧。レシピ、最高。料理人、初心者マーク。料理に関する三つの要素のうち二つはパーフェクト。残りの一つが少々心配だと思われているだろうが大丈夫だ。七海のアドバイスさえ守れば完全無欠のポテトサラダ間違いなし。

「七海さんは必ずスケールで量るようにって言ってたよね」

 彼女は七海のアドバイスを思い出しながら、サンドイッチの日の帰りに購入したキッチンスケールを取りだした。小数点以下もきっちりと量れる最高級の品だ。こちらも間違いなどあるわけが無い。彼女は既に勝利を確信し、ニヤニヤと笑った。堪えきれない愉悦が胸の奥、腹の底から沸々と沸き上がってくる。七海が「美味しい」と言ってくれるところを想像すると幸せな気持ちになる。七海だからそうなるのか、人に美味しいと言ってもらえるから嬉しいのか、それはまだわからなかった。ただ七海のサンドイッチを食べたときのような幸福感を与えることができたら、きっと胸がいっぱいになるだろう。あのセクシーな声で「美味しい」を聞いてみたい。無駄のない美しい所作で食べ物を口に運ぶ様をずっと見ていたい。この不可解な感情に名前をつけるとするならばそれは恋しか無いのだが、今の彼女はそのことをまだ知らない。

「でも七海さん、敵に塩を送るようなことしちゃって大丈夫かなあ。それだけ自信アリってこと? 絶対負けられない!」

 レシピが間違いないのだから、その通りに作ればよい。寸分狂わぬ計測で今日は勝ちを取りにいく。

「じゃがいも二個、OK。人参半分……って、縦に半分? それとも横に半分?」

 拳を握りしめ気合いを入れたのに、早速壁にぶち当たる。そもそも買ってきたじゃがいもは、家にあるものより二倍くらい大きい。同じじゃがいもでも一個の大きさが全く異なるではないか。最高級の新じゃがともなればビッグサイズなのかもしれないが、一般的な一個とは一体何グラムなのだろう。それに人参だって、半分としか書いていない。塩ひとつまみと、胡椒少々の量の違いもわからない。読めば読むほどレシピが呪文のように見えてきて、彼女は頭が痛くなった。スーパーシェフのレシピは初心者向けでは無いのか、次々と疑問が浮かんでくる。芋を茹でる時間も三十分から四十五分と十五分も差があるではないか。まだ始まって五分も経っていないのに早くも雲行きが怪しくなってきた。

「とりあえず、茹でながら考えよう」

 じゃがいもは皮付きのまま茹でるらしい。なぜだかは書いていないのでわからない。ついでに人参も一緒に入れてしまう。ぐらぐら沸騰する鍋に放り込むと、ポチャンと大きな音を立てて熱湯が辺りに飛び散った。

「あっつぅーい!」

 熱々の湯が飛んできた手の甲を水道水で冷やしながら、次の工程を確認する。きゅうりを薄くスライスして塩を振る。塩は適量とだけ書いてある。適量、とは一体何グラムなのか。とりあえず読み飛ばしてきゅうりを輪切りに切っていく。トントン小気味よい音を立てているが、切れたきゅうりの幅はまちまちだ。塩を適量――彼女的には大さじ一杯――入れて軽く揉み、しばらく放っておく。そうこうしているうちに人参がイケそうな気がして湯から恐る恐る取り出してみた。まだ少し硬いが、じゃがいもが柔らかいので多少の食感が必要だろうと無理矢理自分を納得させた。涙が出るほど熱い人参を指先だけで固定して切ったものだからガタガタになったが、お腹に入れば食材の形状など関係ない。だから大丈夫だ。
 そうこうしているうちに三十分のタイマーが鳴った。早めに少しずつ茹で具合を確認する作戦は我ながらナイスだと彼女は思った。竹串など無いので菜箸を刺してみると、思いのほか茹だっており湯の中で半分に割れてしまった。慌てて二つとも取りだして皮を剥こうと試みるが、人参以上に激熱だ。

「もうだめだぁ〜」

 氷水で指先を冷やしながらなんとか皮を剥き終えたときには、じゃがいもはボロボロになっていた。
 彼女は準備できた材料を眺めた。どの角度から見ても嫌な予感しかしない。

「七海さんの失敗を祈るしか無くなってきた……」

 頭の中で眉間に皺を寄せた七海の顔が浮かぶ。これじゃあ、がっかりさせてしまうに違いない。

「あとはもう、味で勝負するしかないよ。私ならできる」

 そう言って彼女は材料の全てをボウルに入れた。じゃがいもをフォークの背で押すと簡単に崩れていく。その感触が心地よく、彼女はグリグリと何度も念入りに芋を潰した。新じゃがは水分を多く含んでいて柔らかい。それに先ほど湯の中で分解されたときに水を吸っている。更にきゅうりの水切りをしていなかったので、塩味たっぷりの水分がじゃがいもに吸われてしまった。そしてうっすらと黄緑に色付いた。

「なんか、思ってたよりしっとり系?」

 一応疑問は抱いたものの、分量通りのマヨネーズと胡椒少々――彼女的には五振り――を入れた。レシピ通りの量だから間違いは無いはずだ。混ぜるたびにネチョネチョと音を立てているのが非常に気になる。なんとか全部を混ぜ合わせると、どう見ても水分が多すぎる気がした。しかし、問題は味だ。味さえ良ければ、多少のことは許される。

「味見、してみよ……」

 彼女が恐る恐る一口食べてみると、塩辛さが一気に押し寄せた。やはりきゅうりをそのままぶち込んだのがマズかったかもしれない。それに全体的にみずみずしさが過ぎる。じゃがいもは潰れすぎて食感ゼロのマッシュポテトになってしまっているし、人参はゴリゴリに硬い。マヨネーズを加えたことでネッチョリ感が増して、これではポテトサラダというより、なんというか、芋和えだ。

「これがシェフの味……。ちょっと常人には理解できないな。七海さんならわかるかも」

 彼女は自分の腕には疑問を持っていなかった。だって全てはレシピ通り。間違いがあるとしたら、それは三ツ星レストランのシェフのレシピなのだから――。



「今日を楽しみにしていました」

 応接室に行くと既に七海が待っていた。なぜかワクワクしているように見えるのは気のせいではない。明確に口角が上がっているし、テーブルの上には生成りのランチョンマットが二人分敷かれていた。はしっこに置かれたシンプルな保冷バッグの中には七海渾身のポテトサラダが入っているに違いない。片や彼女は百円ショップで買ったフードパックだ。一応、バスケットの模様が描かれているのでピクニック感を演出しようという試みがうかがえる。木製の使い捨てカトラリーも買っていたのに、家に忘れてきてしまった。給湯室に何か使えそうなものはあるだろうか。滑り出しから悪いが勢いで駆け抜けるのがベストだろう。シェフのレシピで最高級の食材を使用しているから間違いなど起こるはずは無い。そう信じて彼女は席に着いた。

「勝つのは私です」
「勝負をしているつもりは無いのですが」
「そうでしたっけ……?」
「腕を磨くための交換会です」
「そうだったかも。とにかく! すっごいレシピと最高の食材ですから、七海さんを唸らせますよ!」
「楽しみですね。では、どうぞ」

 彼女は派手な効果音を口にしながら、七海はわずかに微笑みながら、向かい合った二人がテーブルの中央にポテトサラダが入った容器を出した。

「三ツ星レストランで修業をした山本シェフが考案した家庭的なポテトサラダです! 高級食材を扱うスーパーで最高のものを買いました!」

 ドン、とポテトサラダ五人前ほどが入った巨大フードパックが置かれる。ギチギチに詰まっていて端から少し水分が出てしまったのか、チャック付きポリ袋の中はべっとりと濡れていた。パックも濡れているので無駄に豪華な応接室のテーブルに黄緑色の汁が付いてしまった。七海は人よりも食べるほうだが、二人で食べるには少々多すぎる気がする。それに七海も同じくポテトサラダを持ってきているのだ。二人合わせて一体何人分あるのだろう。

「私はベーコンと粒マスタードのタルタルサラダです」
「ちょっと待って。タルタルってなんですか? ポテトはどこへ? ルール違反です」

 七海が保冷バッグの中から小さな丸い容器を二つ出したとき、彼女は身を乗り出して七海に抗議した。テーマに沿っていない料理を出してくるなんて、ハナから勝負にならないではないか。

「じゃがいもは使っています。タルタルというのは、マヨネーズベースのソースと考えていただければいいでしょう」

 七海がそう言うと、彼女はむっとした唇を突き出して中身を覗き込んだ。たしかに、じゃがいもの塊らしきものはゴロゴロ入っている。程よく焦げ目のついた厚切りのベーコンに粒マスタードが絡み、食欲をそそる。それだけで美味しさを確約されたようだ。さらに四つ切程度にざっくり割られたゆでたまごが入れられて彩りもいい。しかもそのたまご、彼女が大好きな黄身の真ん中だけ少しとろみがある茹で加減だった。彼女は思わず生唾を飲みこんでしまった。一級呪術師ともなれば今の音を聞き逃すはずはなく、七海はふっと声を漏らして笑った。それが勝利を確信したように見え、彼女はますます頬を膨らませた。

「信じられません。本当にポテトサラダなんですか? 食べてみないとわからない。勝つのは私です」
「では実食といきましょう」

 どこから持ってきたのか、小皿と取り分け用スプーンが用意されていた。彼女がぼんやりしている間に七海はテキパキと机の上を片付け、彼女のポテトサラダを取り分けた。スプーンを入れるとネチョッ、と音がして、皿に置くとベチャッ、と鳴った。これは美味しさの音に違いないと彼女は自分に言い聞かせ、まずは七海の持ってきたタルタルサラダに手を伸ばす。上品なハーブがとふわりと香り、たまごとマヨネーズ、それから粒マスタードにじゃがいもが織りなす黄色の濃淡が美しい。そこにスモーキーなベーコンの力強さを感じ、いかにも男の料理という迫力を感じてしまい、胸がドキドキしはじめた。目を潤ませて七海のサラダを見つめる彼女を尻目に、七海は少し大きめのタッパーを取り出した。中身はナポリタンスパゲッティだ。そしてインスタントのオニオンコンソメスープをマグカップに入れて、保温水筒から湯を注いで彼女に差し出した。流れるような所作に見惚れていたが、いつの間にかランチが完成しているではないか。

「七海さん? 女子力高すぎませんか。私、本当にポテトサラダしか持ってきていないんですけど……」
「それでは今度、飲み物でも奢ってもらいましょうか」

 七海はフフフと満足げに笑って「どうぞ」とすすめた。美味しさを約束された料理の数々を目の前にして彼女は両手を合わせるしかない。だって早く食べたい。こんなに美味しそうだし折角すすめてくれたのだから、食べないと勿体ないではないか!

「いただきます!」

 彼女はさっそく目の前の皿に手を伸ばす。冷めても美味しいナポリタンは定番の味だと思ったけれど、どこか深みがあってじっくりと味わいたくなる。ピーマン、たまねぎ、ウインナー、しめじがバランスよく入っていて非常に安心感があり、彩りも良い。

「なんだか、お店のナポリタンって感じです! すーっごく美味しい!」

 コンソメスープはインスタントだが見たことのあるロゴが入っていて、彼女が今回の勝負の為に材料を買いに行ったスーパーのプライベートブランドだとわかった。いつもの特価品ももちろん美味しいが、丁寧に作られたスープは特別な日に飲みたくなる。

「あのスーパー、七海さんも行くんですね。間違いないってことがわかりました」

 最後になってしまったが、ベーコンと粒マスタードのタルタルサラダに手を伸ばす。これが今回のメインディッシュだ。食べる前から正解であることがわかるチョイスに敵ながら見事であると言わざるを得ないと彼女は唇を噛む。しっかりと形の残ったじゃがいもの塊と短冊切りのベーコンを箸ではさみ、えいやっと口の中に放り込んだ。ツンと鼻に抜けるマスタードの香りと辛みが刺激的なのに、ゆで卵とマヨネーズのおかげでマイルドな口当たりだ。ベーコンの香ばしさも負けていない。それぞれの主張はしっかりとしているのに、お互い引き立て合って最高のハーモニーを生み出していた。

「ソースは口当たり最高で、ピリッとした辛さと酸っぱさがアクセントになってていくらでも食べられそう!」

 一口食べただけでわかる。このポテトサラダは間違いない。彼女は更に一口、またもう一口と次々に口へ運ぶ。食べる前は険しい表情で勝負だとか信じられないだとか言っていたくせに、七海の手料理を食べると破顔一笑した。明らかに格が違う。始まる前には今日は勝つんだと意気込んでいたが、到底勝ち目など無い。そもそも最初からわかっていたのに、どうしてむきになってしまったのだろうと彼女は悲しさと恥ずかしさで穴があったら入りたいと思った。自分の作った水分たっぷりのポテトサラダが恥ずかしく感じてしまう。それに入れ物だってみっともない。

「美味しそうに食べてもらえて嬉しい。貴女のポテトサラダもいただきましょう」

 そう言って七海は彼女作のポテトサラダを口にしようと箸をつけたその時――。

「あっ、もうッ、だめぇ!」

 己の負けを確信した彼女はテーブル越しに七海の手を押さえつけた。七海の手に彼女の小さな女性らしい手が重なっている。温かくて、すべすべしていて、柔らかい。それを自覚してはいけないと、無意識下で七海は頭を空っぽにした。するとカランと音を立てて箸が落ちた。驚いた七海は目を見開いて開いた口を閉じられないままだ。呆気に取られている隙に彼女は自分の料理を七海から取り上げてしまった。腕の中に抱え込み耳まで真っ赤にしながら目にはうるうると涙を溜めて、七海を上目遣いで睨みつけている。その様子は全く怖くないどころか、可愛らしささえある。ついからかってしまいたくなった七海だが、ここはグッとこらえて冷静に対処しなくてはならない。そもそも七海は食べたいのだ。どんなものであっても、今日の日のために一生懸命作ってくれた彼女の手料理を味わいたい。だからここで引き下がるわけにはいかなかった。

「せっかく貴女が私の為に作ってくれたんですから、一口くらい食べさせてくれても」
「だめ! ぜったい、食べないでくださいっ! 今日は私の負けなんです!」

 いやいやと首を振りながら拒否しているが、やはりその仕草は可愛いだけでしかないので困ったものだ。このまましばらく眺めているのも悪くないと思いつつ、七海は彼女に手を伸ばした。机に伏せて腕の中に小皿を隠してしまっているが、七海が彼女に触れると抵抗なく解けていった。唇を突き出して不服そうにしているものの、もう止めるつもりは無いらしい。七海が一口彼女の作ったポテトサラダを口に入れた。ゆっくり咀嚼して味わって、ごくりと飲み込む。

「少し塩辛いなというくらいで、そこまで悪くない」
「ダメって言ったのにぃ……」

 彼女はしゅんとして首を垂れ、悲しそうに呟いた。そんな表情もまた可愛らしいと七海は思う。もうどこからどう見ても、彼女のことは可愛らしいとしか思えない。きっとハートのフィルターがかかっているに違いない。

「少しの工夫でもっと良くなるはず。そんなに悲しまないでください」
「そんなこと言ったって、私じゃだめなんです」
「一緒に料理してみませんか。どのようにしているのかわかれば改善策を考えられる」
「どのようにって、普通にしてるんですけど……。レシピ見ながら、本の通りにやってるんですよ!」
「そうですね。例えば……、材料の選び方はどうでしょう。まずは一緒に買い物に行ってみませんか」
「目利きってことですか? なんかだか楽しそうです!」

 少し強引かもしれないと七海は思ったが、何の疑いも持たずに彼女は了承の返事をした。スマートフォンを出してスケジュールを確認し合い、来週の金曜日に予定を立てる。買い出しに行った後はどうすべきだろうか。七海の自宅に誘い、手料理を振舞ってもいい。彼女の家に行って一緒に料理をするのもいい。なんとかして彼女と距離を縮めたい七海だが、彼女からは料理の先生としてしか見られていない気がする。先ほど彼女が触れた部分から少しずつ熱が広がっていく。じわじわと七海の身体の奥に染みこんで、どきどきと胸を高鳴らせた。でもまだ、悟られるわけにはいかない。今はこのままで。少しずつ、じっくりと、時間をかけて丁寧に下ごしらえをしていく必要があるのだ。