二人が交際を開始して数週間。料理の交換会は中止となり、今は七海が手料理を振舞い、彼女が食後のデザートを買ってくるというパターンが出来上がりつつある。時間を見つけては美味しいお店を開拓して、二人で共通のノートに感想を記すこともお決まりとなった。料理と食事を通して育んだ愛をこれからも大切にしていくつもりだ。今日はいつものように七海の自宅で夕食会を予定している。今のところ清い交際だが、お互いに燻るものが限界を迎えようとしていた。男と女の本能なのか、二人きりになればどうしたって触れ合いたくなってしまう。どちらも今日こそはと思い、気合いの入った下着を着けていたり身体を清めてきたりしていたものの、これまで一定の距離を保ち続けてきた元師匠と元弟子なので、一線を越えるには少々勇気が必要だ。
今日こそはと彼女は身体中をきれいに磨き、料理を楽しむため普段は滅多に使わない甘い香りの香水を付けた。髪も整え、女子力高めのヒラヒラしたワンピースを着て、ヒールを履き、いかにも勝負日な恰好で七海の部屋を訪れた。七海もベッドのリネン類はすべて洗濯して干し、スキンをナイトテーブルに忍ばせ、シャワーを浴びた。今日はこのまま泊まっていってほしいと告げるつもりだ。それがどういう意味か、さすがの彼女もわかるだろう。
いつも通りに食事を楽しみ、デザートに舌鼓を打ち、そろそろいい時間になってきた。普段はテーブルを挟んでおしゃべりをして、いい時間になったら彼女を自宅へ送り届けているが、今日は違う。食器を片付けたら彼女をソファへと座らせ、暖かいハーブティを淹れた。いつもはもう遅いだとか、明日仕事があるだとか理由をつけて帰り支度を始めるのに、今日の彼女は素直に座ってカップにそっと口をつける。二口ほど飲むとソーサーへカップを戻して濡れた瞳を揺らして七海を見上げた。口付けの許しを乞うと頷いたので、そっと唇を重ねる。唇同士を触れ合わせるだけのつもりだったのに、彼女が七海の胸元に手を添えて下唇をぺろりと舐めるものだから、堪らず七海は舌を追いかけてしまう。舌先同士がぴたりと触れると、もう止まれなかった。ぴちゃぴちゃと静かな部屋に水音が響き、さらに身体の距離が縮まっていく。互いを求め貪り食いたくなる衝動をなんとか抑えつけ、七海が彼女の頬を包む。二人の関係に名前が付く前も付いてからも、ずっと七海は紳士的だ。どんな時でも彼女を尊重し、礼儀正しく品がある。
「やっとこの日が来たかと、感慨深い」
「なんだかちょっとずつ丸め込まれた気がします」
「そのまま丸め込まれてくれるのもいいのですが、ここから先はきちんと貴女の言葉で教えてください」
「七海さんの作った美味しいご飯をこれからもずっと食べたいです」
「もちろんです。では、この先に進む許可を」
額がぴたりとくっつき、見つめ合った。気持ちの昂りが少し落ち着き冷静さを取り戻したところで、呼吸を整え互いの意思を確認し合う。先ほどまでは二人とも色欲に塗れた瞳をしていたのに、彼女の許しを乞う七海の表情は穏やかだった。彼女は少し照れくさそうに眉尻を下げ、濡れた瞳を揺らしながら答える。
「私をどうぞ、召し上がれ」
「いただきます」
再び唇同士が重なり、静かに離れた。それからもう一度確かめ合うようにキスをして、抱擁すると幸福感で満たされて胸がいっぱいになった。とめどなく溢れる想いを残さず受け止め、全部飲み込んで糧としたい。今日は忘れられない一日になるだろう。
七海は彼女をそっと抱きかかえ、寝室へと入っていった。ベッドに腰掛けさせると、小さなルームランプに照らされて彼女の恥ずかしそうな顔が見えた。緊張が手に取るようにわかる。七海は彼女の隣に座り、髪をすくって指で弄びながら、もう一度口付けをした。彼女のしっとりと湿った手が七海の前腕を掴み、何かを促すように撫でさする。それが合図となって、身に着けていた衣類を丁寧に脱がせ合う。二人とも下着一枚になったら、七海は彼女をベッドへ横にした。控えめなフリルレースをあしらったクラシカルなセットアップ下着が彼女らしい。気恥ずかしそうにしながらもしっかりと準備している様子がいじらしく、七海の胸に愛しい気持ちがこみ上げてくる。
ありったけの愛を込めて彼女の緊張を解す。肌に優しく触れ、撫で、口付け、舐る。その度に小さな吐息が漏れて身体を震わせた。
「アナタの唇は甘酸っぱいんですね」
「んぅ、さっき、苺のケーキ食べたから……」
幾度も繰り返した唇への愛撫。彼女から遠慮がちに絡められる舌を追い口内を味見する。上顎の凸凹を弄び、跳ねる腰を優しく諭すように撫でると、物足りないのか内股をモゾモゾさせた。
「首筋は爽やかなシトラスの匂い」
「んっ……、七海さんがくれたボディソープのせいでしょ……」
そのまま首元に唇で少し刺激を与えてやると、耐えきれないのか彼女の腕が七海の頭を押さえつけた。鎖骨を食みながら彼女の胸元へそっと手を添える。ブラカップを少しずらすと、ピンと可愛らしく主張する蕾が見えた。そのまま触って貰えると期待したのか、彼女は大人しくなった。もちろん期待通りに触れてやりたいが、七海はもう少し彼女の身体を味わいたいとも思った。両腕を頭の上で組ませる。彼女が不思議そうに七海を見つめていると、デコルテから脇へと七海の頭が下がっていった。驚いた彼女は咄嗟に腕を下げようとしたのに、七海は全く動じることなく腋窩に顔を埋めて大きく息を吸い込んだ。
「脇は、ふふ。少し蒸れて、可愛らしい汗の匂いがしますね」
「ちょ、だめっ! 変なこと、しないでっ」
口からは拒否的な言葉が出ているが、七海が脇の窪みを舐め上げると快感に酔いしれ腰をくねらせる。身体は全くと言っていいほど無抵抗で、まるでもっとしてほしいとでもいうように身を捩った。嫌ならこれ以上はしないと七海が告げると、弱々しい声で「きもちいいです……」と返事があった。必死に顔を背け、真っ赤な顔を見られまいとしている姿に七海の胸は甘く疼く。一通り脇を堪能したあと七海の手が背中へと回り、胸の締め付けが解放される。きつく締め上げていたようで、ホックをはずすとババロアのように柔らかな双丘が脇へと流れた。蚊の鳴くような声で「恥ずかしい」と言う彼女のコンプレックスらしいバストは、七海が都合よく想像していたよりもボリュームがありこの世の何よりも柔らかい。下から支えてふるふるとした感触を楽しむ七海の手から必死で身を捩って逃げようとするのでなぜかと問うと、横に垂れて見苦しいからだと泣きそうな声で答えた。そんなことはない、可愛らしいと七海は彼女の身体を包み込むように後ろから抱きながら背中に何度も口付け、彼女への愛を真っ直ぐに伝えた。次第に硬くなっていた身体の力は緩み、彼女の小さな手が七海の男性らしくごつごつとした手に重なったと思えば、するすると身体をすべらせて自らの乳房へと導いた。ようやく正式に触れる許可を得た七海は、下から支えるように膨らみを包み込みその柔らかさを楽しんだ。外気に晒され乳房へ優しい刺激も加わり、薄桃色の乳首がピンと立ち触って欲しいと七海を誘う。指先で軽く触れるとピクンと身体が震え、ン、と声を漏らす。指の腹で撫で擦っていると更に硬さを増していき、彼女は耐え切れず甘い吐息を吐きながら腰を反らせて尻を突き出し、七海の破裂しそうな肉棒に甘い刺激を与えた。突起を口に含んで嬲りたいが焦ってはいけない。初めての触れ合いを心から楽しみ、お互いの気分を少しずつ高めていき、全身で彼女を感じたいのだ。
「腰から仄かに林檎のようなフルーティな香り」
「なんで、わかるのっ⁉」
七海と会う日に意識してほしくて選んだ香りを言い当てられ、彼女は目をまん丸にして驚いた。そんな反応を見て、七海はくすりと笑った。いちいち可愛らしい。始まりのキスは少々焦り過ぎたと反省しており、今日は素直で愛らしい彼女のすべてをじっくりと堪能したいと思った。
彼女のくびれに熱くて大きな手が添えられ、明らかな情欲をもって撫でつけられるとこのままもうどうなってもいいとさえ思ってしまう。まだ性器に触れられていないのに濡れているのが自分でもわかる。直接触ってほしくてたまらずお願いしようと口を開いたとき、七海の手がするするとすべってショーツにかかった。
――ああ、やっと触ってもらえる!
焦らされて熟れた秘密の果実。どんどんとろけて歯止めが効かない。腹の奥が疼いてもっともっとと快感を望む。彼女は我慢できずに、もったいぶって未だショーツのフリルを弄びながら内股に口付ける七海の手をぎゅっと握った。目にはいっぱい涙を溜めて、口はへの字になって震えている。必死に目で訴える姿を見て、七海には彼女の言いたいことがわかった。もう限界だと彼女が言おうと決意したとき、骨太い指の先端が下着越しにそっと密壺へと添えられ、息を呑む。
「さて、ここはどうですか。先ほどから我慢できないと、蜜を垂らしているようです。味見をしてみましょう」
「あっ、あ、ななみ、さ……!」
少し内側に押されただけで想像以上の快感をもたらされ、これ以上がこれからあるのだと考えると眩暈がしてくる。ゆるゆるとクロッチの上を往復する七海の指を思わず制止するように掴んでしまった。七海はぴたりと動きを止めて優しく微笑み、離れていこうとした。違う。止めてほしいのではない。もどかしい刺激では物足りない。もっと押して、開いて、中を埋めてほしい。彼女は掴んだ指をそっと離し、違うの、と一言呟いた。自らショーツに手をかけてするりと下ろすと、ぬるぬるの粘液が糸を引きながら秘部が露わになっていく。恥丘はふっくらとボリュームがあり、下生えは控えめに整えられている。身体のどこをとっても彼女らしく、七海の想像通りで思わずいけない笑みがこぼれそうになってしまう。下着を脱いでいる様子をじっくりと眺めていると、彼女は目を細めて唇をむっと突き出して不満そうな顔を作った。プンと怒ったような顔さえ可愛らしく、堪らず七海が彼女の手を取りキスの雨を降らせると、彼女はくすくすと笑ってくすぐったそうにした。ついに彼女のショーツが身体から完全に離れ、生まれたままの姿になった。恥ずかしさと期待が入り交じった瞳を輝かせ、物欲しそうに七海を見つめている。
「とろとろの蜜が奥の方からどんどん溢れてくる。これは、発情した、いやらしい雌の匂い」
「ふッ、も、ヘンなこと、ばっかりィ……」
大腿を大きく開いて中心部を見つめられ、彼女は恥ずかしくて堪らず顔をおおった。でも触ってほしい。相反するふたつの思いがぶつかり合い、頭の中はめちゃくちゃだ。ついにどろどろになった秘部に七海が触れると、彼女は全身を震わせて悦んだ。
「すごくそそられる。うまそうだ。貴女の全てが愛おしい」
「わたし、食べものじゃないですっ」
やっと待ち望んだモノが与えられ、幸福感がどんどんと湧き上がってくる。胸が弾けそうなほどの悦びと、頭の先から爪の先まで痺れるような快感とがごちゃ混ぜになり溶けてしまいそうだ。七海の指が彼女の柔らかくて温かい肉の間を行ったり来たりしている間、必死になってシーツを掴んで快感を逃そうと試みる。身を縮めて伸ばして、腰を引いたり突き出したり。もじもじと悶えてみても容赦なく与えられる規則的な刺激からついに逃れられず、ぷりぷりと主張する豆粒に七海がわざとらしく指を引っ掻けるとビクンと大きく震えて達した。
「おいしい、ではなく、いとおしい」
「わ、わかってますっ……♡」
絶頂を悟られたくないのか蕩けた顔で七海を弱々しく睨みつけ、腕で真っ赤になった顔を隠しながら上ずった声で言った。そのすべてが劣情を掻き立てる要素しかなく、七海は己を保つことで精一杯だ。荒ぶる呼吸を落ち着かせようと深呼吸をする彼女に思いきり突き立て泣かせてしまいたい衝動もあるが、腕の中に閉じ込めるように抱きしめて、どこにもいかせたくないとも思う。誰にも渡したくない。自分だけのものだと主張するように彼女の大腿の肌をきつく吸い、七海の痕跡を残す。好きなものを独り占めしたいのは、きっと誰もが抱く感情だ。とろけるほど美味なる甘菓子となればなおさらだ。下腹部にも印を残そうと皮膚を食む七海の姿を見て、彼女はまんざらでもない表情を浮かべながら金色の美しい髪を梳くように撫でた。
互いの身体をじっくりと味わい隅々まで堪能するように、二人はベッドの上で時間を忘れて戯れた。彼女が何度目かの絶頂を終えたあと、息を整えながら向かい合わせになって唇の感触を楽しんでいたとき。手持ち無沙汰になった彼女の手が七海の胸元へとやってきた。逞しく盛り上がる胸筋を撫でつつ、その先端にある少し硬くなった小さな実をそっと抓むと、七海が「んッ」と小さく可愛らしい声で鳴いた。気を良くした彼女はそのままくりくりと指の腹で優しく捏ねて、摘まんで押して、弄ぶ。されるがままに初めての快楽を受け入れながら、七海は彼女の空いている手を握った。なるほど、と七海は彼女がさきほどから何度も手に触れてくる意味が分かった気がした。押し寄せる未知の波への恐れに似たような感覚から、無意識にそうしてしまうらしい。彼女から与えられる刺激に身を任せ、七海は目を瞑った。先走りがだらだらと流れ出ているのがわかる。竿を伝う己の蜜さえ快感となることを知ってしまい、このように相手に身を任せるのも悪くないと思った。
爆発しそうな七海の肉棒に彼女が手を伸ばし、愛おしそうに撫で上げながらすっかりほぐれた自身の密壺を押し付ける。
「も、これ、ください……♡」
額にチュッとリップ音を立て耳元で「おねがいします」と呟いた。可愛いおねだりを無視するわけにはいかない。返事はもちろん決まっている。少し準備があると七海が告げると、彼女はどこにあるのかと聞いた。ナイトテーブルを指さすと、彼女は七海の鼻筋にキスをし、手探りでコンドームケースを見つけ出した。革製のそれから銀色の包みを取り出して封を切り、期待と懇願で濡れた瞳が揺らめき七海を誘う。いつもこの時間は興ざめするのに今日は違った。もう我慢できないと求められていることがわかり嬉しくて仕方がない。丸みを帯びた指が精液だまりをつまみそっと被せて、くるくるとラテックスの薄皮を下ろしていくと、ぴっちりと嵌まった。少々窮屈そうにも見え、彼女は七海のそれを早く慰めてやりたくて仕方がない気持ちになった。
準備が整ったらお互いの気持ちを再び確認し合う。言葉は無くとも見つめ合えば答えがわかり、向かい合ったまま貪るような接吻を交わす。彼女が七海のものを自らの中へ導いていく。十分な潤いですぐに先端は埋まり、少しざらつきのある肉壁を越え、奥の柔らかい粘膜へと続く。七海の形を確かめるようにゆっくりと腰を落とす彼女は正しく呼吸ができていないようで、ぶるぶると震えながら必死に快感を逃そうとしていた。更に進んだところにこりこりと硬い部分があって、それが行き止まりの合図らしい。七海が少し腰を動かしてそこを突くと彼女はいとも容易く絶頂を迎えた。何度もしつこく突き上げて彼女を快感の渦の中に引きずり込んでやる。腰を反らしながら無意識に彼女も七海の先端を奥へ擦り付け、更なる悦びを自ら求めた。どれくらいそうしていたのかはわからないが、ついに身体を支えきれなくなった彼女が脱力したので、七海はベッドへうつ伏せにして寝かせた。繋がったままの部分は白く泡立ち、とてつもなく淫猥に見える。枕で口元を覆いながらフウフウと深呼吸をして立て直そうとする彼女を七海は後ろから更に攻めた。ぽちゃぽちゃとした尻の肉を揉みしだきながら肉棒を押しては引いてゆるい刺激を与え続けると、彼女はたまらず尻を突き出してぴたりと隙間なく嵌め込み、快感を享受する。どこまでも貪欲に求めてくる姿がいやらしくもあり、可愛らしくもあり、七海は今まで感じたことのない幸福感に包まれていた。愛のあるセックスがこれほどまでに気持ちがいいだなんて、今の今まで知らなかった。
彼女が満足するまでじっくりねっとりと律動を繰り返していると、彼女が震える声を出した。
「や、すと、っぷ♡」
泣いているように聞こえたので七海はぴたりと動きを止め、彼女の背中に口付けながら様子を伺った。七海の額から流れ出た汗がぽたりと彼女の背に落ちる。
「少し休みますか」
「あの、ちがくて♡ イってましゅ♡ から、とまってぇ♡」
「わかりました」
彼女の言う通り、七海は動きをとめたまま震えが治まるのを待ってやる。安心したのか全身の力が抜け、締め付けがほっと緩んだ。しばらくするとぐねぐねと中の肉が蠢き、七海から精を搾り取ろうとする。どうやらまた達しているようで、ぴくぴくと尻の肉が痙攣している。
「ハァーッ♡ きもちい~♡ まだ、だめですよ♡」
「アナタがいいと言うまで何もしません」
七海が彼女の背中にのしかかって動かずにいると、角度を変えたり速さを変えたり、下から好き勝手に突き上げて自分だけが気持ちよくなろうと必死になっている。七海のことなんかおかまいなしに動く彼女を見ていると、なんだか面白くない。二人で一緒に楽しみたいのに、一人で勝手にイキまくる彼女に少し意地悪してやりたくなった。七海が動いていいかと問うと、彼女が上ずった声で答える。
「あっ♡ いいよ♡ うごいて♡ イカせてくだしゃい♡」
「こうですか」
身動き取れないように覆いかぶさって身体を拘束し、思いきり激しく腰を打ち付けてやる。びっくりしたのか嬌声をあげ、いやいやと首を振る。
「だ、めぇ……! ゆっ、くり♡」
押さえつけられて苦しいからうまく話すことができずにたどたどしい言葉を発する彼女を見て、七海は少しやりすぎたと反省した。彼女のことを全部愛して、飲み込んで、全てを与えてやりたいと思い、希望通りにゆるゆると彼女の肉壁を擦りあげながら奥を潰すように押し付けてやる。
「あ♡ そぉです♡ ななみさん、じょうず♡」
嬉しそうに全身を痙攣させて盛大に果て、ぬるぬるの粘液がどろりと結合部からあふれ出した。ぬちゃぬちゃと濃密な音をわざとらしく立てて掻き混ぜてやると、彼女の中が締まって緩んで、また果てる。
「いく♡ いきます♡ きもちいです♡」
すぐに次の波がきたようで落ち着く間もなく何度も達して彼女はぐったりと脱力した。中の肉もおなじく緩み、ふわふわになる。キュウキュウ締め付けてくるのも堪らないが、優しく包み込まれる感覚も捨てがたい。七海がねちねちとゆっくり動いていると、もう何回目かもわからない絶頂がやってくる。
「またっ♡ いく……♡」
今度こそ喋る気力もなく倒れ込んだ彼女は、全身の力をだらりと抜いて腰をぴくぴくと震わせた。いつの間にか時刻は午前一時を回っている。これ以上耐え切れそうにないと、身を捩って七海に懇願した。
「も、ねかせて、くらさい……♡」
「もういいんですか? もっとたくさん、気持ちよくなりたいのでは?」
またしつこく奥の方を圧迫するように突いてやる。何度も押し寄せる波から逃げることができず、彼女は意識を飛ばしそうになった。目の前が白っぽくなったと思ったら、キラキラと閃光が走り、何も考えられなくなってしまう。それでも無意識に身体は快感を望み、腰をくねらせ求めた。なんとか正気に戻ったら、彼女を抱きすくめて離さない七海の手を握って言う。
「止まってぇ♡ ななみさん♡ きもちよすぎます♡」
「良かったですね。気持ちよくなっている貴女を見ていると幸せです」
「ア、またァ……♡」
すっかり彼女のいい所がわかった七海は、その後もずっと彼女を愛した。もっと快感でぐずぐずにして、自分以外考えられなくなってほしい。
今は何時だろう。汗をかいたので風呂に入りたいが、彼女はもうそれどころではないようだ。くたっと横になって背中を規則的に上下させて眠りに落ちている。七海もさすがに疲れてしまい、とうとう出番の無かったコンドームを外して彼女を抱きしめて瞼を閉じる。明日二人で風呂に入ればいい。そんなことを考えているとすぐに眠ってしまった。
翌朝。寝室の遮光カーテンの隙間からチラチラと太陽の光が入り込み、七海は目を覚ました。腕の中には彼女がまだ寝息を立てていて、昨夜のことが嘘ではないとわかった。自分が付けた独占欲の証明を改めて見ると小っ恥ずかしくなり、頭を抱える。昨日はやりすぎたと反省し、健やかに眠る彼女の髪を撫でた。ぽかんと口を開けて年齢よりも幼くみえる。腰まではだけた布団をかけてやり、そっとベッドを抜け出す。夢ではないのだと改めてわかると、これからの毎日がすごく楽しみになった。
七海が起きて間もなく、彼女が布団にくるまりながらリビングにのそのそと出てきた。ごろりとソファに横になると「おはようございます」と照れくさそうに言った。すぐさま駆け寄っておはようのキスをして、風呂へと連れて行く。今更恥ずかしいだの見ないでくれだの言うので、七海は少しむっとして彼女の肩口をかぷりと噛んだ。昨夜は自分から上に乗っかって下から腰を振って好きなようにしていたくせに。
「お腹すきましたね」
「たしかに腹は減ってますが、まずは風呂に入りましょう」
食べものじゃないと昨日と同じ主張をする彼女をバスルームへ押し込む。念のため買っておいたトラベルセットは狙い通り役に立った。メイクを落とし、たっぷりの泡できれいに磨かなくてはならない。それから湯船につかってじっくりと温め、水気をしっかりと拭いていい香りのオイルを塗り込み、可愛い服を着せて食卓へと着かせる。美味しい料理をたっぷりと食べさせて満足したら、今度は七海が彼女を食べる番だ。だって昨夜いい思いをしたのは彼女だけで、七海は一度も達していないのだから。
朝風呂を終えた二人がさっぱりとした表情で食卓を囲む。今日のメニューは昨日から仕込んでおいたフレンチトーストだ。レタスをちぎってトマトとゆで卵を添えた簡単なサラダとホットコーヒー。彼女はカフェオレがいいというので、ミルクを入れてやった。二人で熱い一夜を過ごしたあとの朝食は少々気恥ずかしいかと思っていたが、長年連れ添った夫婦のように穏やかな時間が流れた。
「このフレンチトースト、すっごくおいしいです!」
「朝なので甘さを控えました」
彼女は嬉しそうに七海の手料理に舌鼓を打ち、ぱくぱくと平らげていく。物足りないのか七海がフォークを口に運ぼうとする様子をじっと見ている。まだフライパンの中に三切ほどあると教えてやると表情がパッと明るくなり、にこにこしながら言う。
「おかわりしてもいいですか?」
「好きなだけどうぞ」
席を立ちながら「やったぁ!」と言ってキッチンへと入っていく。取り分けてやろうと後を追ったら、皿へ移す前に一切れつまみ食いをしていた。口をもぐもぐさせて幸せそうな顔をしているところを見ていると、なぜか劣情が搔き立てられる。指先についた蜜をぺろりと舐める舌を見ていると、愛欲が湧き上がる。七海はフライ返しを持つ彼女の手を掴んで動きを制止し、後ろからぎゅっと抱いた。風呂上がりの清潔な香りがする頭をクンクン嗅ぎながら、ブラジャーに覆われていない胸を服の上から包み込む。マシュマロみたいに柔らかいのに、先端はピンと立って弾力がある。片手で突起を弾きながら反対の手で下腹部をゆっくりと撫で擦ると、じりじりと彼女の腰が浮き始めた。平静を装ってフレンチトーストを皿に入れながら彼女は言う。
「なんだかそれって、エッチな触り方だと思います」
「貴女が美味しそうに食べていると、なぜかムラムラするんです」
形だけの「すみません」を添えながら、何も悪いと思っていなそうな手つきで身体のラインを確かめるように手のひらを滑らせる。彼女もまんざらでは無いらしく、七海にぴたりとくっついて腰を揺らし始めた。残った二切れを皿に乗せ終わったら戻るというので、七海は少し行儀が悪いな、と思いながらも一切れ手でつまみ、彼女の口元へと運ぶ。反射的に口を開けてもぐもぐと食べて、ごっくんと喉を鳴らして飲み込んだ。最後の一切れも同様に食べさせてやる。口いっぱいに頬張るものだから頬がまん丸に膨らみ、小動物のようだ。ごちそうさまでした、と言って食器を片付けようとする手を制し、七海は指先を彼女の小さな口へと入れて、はちみつと粉糖がついた指を舐めさせた。ほんのり甘い味がしたので首を捻って七海を見上げると、明らかな情欲を孕んだ目を細めて愛おしそうに彼女を見つめているところだった。
「朝から♡ こんなとこで♡ だめです♡」
「尻を突き出してすっかりその気じゃないですか。カフェオレは? もういいんですか?」
今度は意地悪く責めるような目つきをして、ねっとりとした視線を送る。彼女の口を指で弄びながら、反対の手では腰から太ももを這い廻らせる。もどかしい刺激に堪え切れず、彼女は腰を浮かせて七海を迎える準備をした。
「ぁふッ、も、はやくっ♡ ここ、入れてくだしゃい♡」
明らかに膨らむ股間に必死で擦り付けてねだっているのにその先へは進もうとせず、彼女の曲線をなぞりながら指で口を犯す。口づけが欲しいと言っても首をかしげるだけで彼女の求めるものは何一つ与えられないままだ。彼女はぼんやりした頭で、もしかしたらキッチンでつまみ食いをしたから怒っているのかなあ、などと考えながら、なんとかして七海をその気にさせようと一生懸命腰を擦りつけて唇をねだり、ちょうだい、欲しいの、と繰り返す。そんな姿が可愛くてたまらない七海は、尻の割れ目に熱い肉棒をわざとらしく押し付けながらもう少しこの時間を楽しみたいと思った。
「いっぱい食べてぽっこりしたお腹、かわいいですね」
「恥ずかし、から、だめっ♡」
七海の倍ほど食べたせいかみぞおちの下あたりがポコンと膨らんでいる。小さな子どもにやるような優しい手つきで触っているつもりなのに、彼女は早く早くとせっついている。七海は腹の可愛い膨らみを撫で擦りながら、ここに自分が作ったものが入って彼女の糧になることを想像して満足げに笑った。相手が満たされることこそ自分の幸せだとわかり、これから先もずっとこのままでありたいと願う。
しばらくキッチンで攻防を繰り広げていたが、ついに彼女は力ずくで七海を払いのけてしまった。簡単に振りほどける力だが必死になっている彼女を堪能するために、七海はわざとらしくよろけてみせる。キッチン背面のカウンターに押し付けられたと思うと、ズボンと下着を同時に引きずり下ろされてしまった。我ながら可哀想になるくらい勃ち切ったペニスが露わになると、彼女は迷わずそこへ頬ずりして唇を押し付けた。
「七海さんのこれ♡ 食べたいです♡」
言い終わったと同時に亀頭のくびれまで咥え込み、先端を舌先でチロチロと刺激する。加えるだけで自然と腰が揺れてしまう。欲しい。それしか考えられない。意地悪な七海を何とかその気にさせて奥まで突いてもらわないと、どうにかなってしまいそうだった。
「嬉しそうに咥えておいしいですか? カラ腰振って待ちきれませんね」
「んーッ♡ ぶフゥ、フガ……♡」
凶悪なまでに極太で長さも十分なそれをさらに喉奥まで突っ込んで、ぬめり気のある分泌物を出して奥へ奥へと誘おうとする。七海は彼女の頬に手を添わせこれ以上の侵入をやんわりと拒んだ。顔を真っ赤にして泣きながら口淫する彼女が可哀想になったからだ。外国の血のせいか平常時でさえ日本人の平均サイズよりも遥かに大きい。勃起したらさらに膨張し、硬度もしっかりとあるし長さもぐっと増す。決して自慢などでは無く、今までそれで苦労してきた。全部入ったことはないし、痛がられ、怖がられ、シラけられ、相手が気の毒になってしまう。そんな己のモノの欲望を発散するためだけに彼女へぶつけるつもりはない。だから無理をしないでという思いをこめて止めたのに、彼女は目を潤ませて鼻水を垂らしながら、七海の手に自らの手を重ねた。そのままするすると小さな手が上っていったと思えば、手首を掴んで自身の頭へと誘導する。弱々しく手を押してくるので七海はその意図を察した。七海の肉棒を咥えたまま上目遣いで瞳をきらきらと輝かせている。口の中で愛おしそうに舌を絡めて先走りを啜る姿を見て、これ以上はいけないという気持ちと、このまま突っ込んで口の中を犯したいという気持ちがせめぎ合う。そんな七海に許可を与えるかの如く、彼女は重ねた手に力を籠めて自らの頭をぐっと押し付けた。もっと奥まで突っ込んで良い。めちゃくちゃに突いてほしい。彼女がそう訴えているとわかったら、七海の頭の中心部で何かが切れる音がした。
「おねだり上手で困りました。まさかこれほどの食いしん坊だったとは」
導かれるままに、ググッと奥まで進めてみる。ほんの一センチほどだがやはり苦しいらしく、彼女の目からぽたりと涙が流れた。慌てて引き抜こうとすれば、彼女がそれを許さず追ってくる。様子を見ながら少しずつ、ゆっくりと喉奥へと進める。口に含むだけでも辛いはずなのに、こんなに奥まで入るものなのだろうか。喉の粘膜に先端が当たると、彼女が耐えきれずに空えずきをした。すると喉がガバッと開きネトネトした粘液がどろりと溢れてきた。ぐりぐりと亀頭を擦り付けると更に溢れてくるので、あまりの気持ちよさにもっともっと押し込みたくなってしまう。彼女はポタポタと涙を流しながらも目は妖しく弧を描き七海の肉棒を咥え込んで離さない。もっとしゃぶりたいと訴えるかのように、自らの喉奥を使って扱き、陰嚢をゆるゆると揉みしだきながら七海の射精を必死で促した。
「も、離してッ……! 出そう、です」
七海の声は彼女に届いているはずなのに、手も口も止まることなく蠢き続け、七海はもう耐え切れず、彼女の口の中へと吐精した。
「うゥ……、イ…くぅうう、うァあ、おおぉお、お……!」
七海は我ながら情けない呻き声を出していると思いながら、あまりの快楽に声を出さずにいられない。昨夜から溜まりに溜まった精液はかつてないほど濃く、尿道口を通っている瞬間がいつもよりはっきりとわかった。出し切ってしまうと罪悪感が押し寄せてくる。促されたとはいえ苦しい思いをさせたうえに、白濁を彼女の口の中に出してしまった。慌てて引き抜くと、彼女はもの悲しそうな顔をした。閉じられた口の中には七海の精液がまだ入っているらしく、困ったように眉を顰めている。吐き出させようとキッチンペーパーを急いで渡すと、彼女はふるふると首を振り、仰々しくゆっくりと口を開いて見せた。ゼリーみたいに固まってぶるぶるとした触感の精液が彼女の口腔内にへばりついているのを見て、七海はとんでもないことをしてしまったと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。彼女はというと蕩けた顔をして口を開け、舌を突きだしたり掻き混ぜたり、口の中で七海の種を弄ぶ。口を閉じたと思ったら、味を確かめるようにくちゅくちゅと咀嚼して、最後にもう一度大きな口を開けて中を見せたと思ったら、次の瞬間にはごくりと飲み下してしまった。
「七海さんのザーメン美味しいです♡ もっといっぱい私にください♡」
にっこり笑って七海の手を取る。射精を終えて萎えたはずなのに、七海の肉棒は再び勃ちあがってしまった。
攫うようにベッドへ連れて行き仰向けに寝かせて彼女の密壺の具合を確かめると、十分すぎるほど潤っていた。滴るほど濡らして今か今かと七海を待っている。
「んむ、ちゅ、んふぅ」
言葉少なく互いの唇を押し付け合うようにキスをしながら、押しては引いて規則的な律動を何度も何度も繰り返す。七海の動きに合わせて彼女も下から腰をくねらせ、大好きなポイントに当てて数えきれないくらい絶頂を迎えた。その度にギチギチに締め上げられ、またゆるんでふわふわになって、七海は今すぐにでも出してしまいたいと感じた。
「フーッ、フーッ! も、出るッ」
「いいですよ。ナカでいっぱいビュービューして、気持ちよくなってくださいね♡」
彼女の許しを得たらあとはもう一番敏感になってはち切れそうなほど膨らんだ自身の性器に意識を集中させるだけだ。力任せに彼女を抱きしめ、好き勝手に腰を動かす。ばちゅばちゅと肉同士がぶつかる音が獣じみているが、出すことに全部の意識を持っていかれている七海にとってはなにもかもが性的な刺激に結びついてしまう。彼女を抑え込んで動物のように腰を振り続け、どんどんと射精感が込み上げてくる。
「ハーッ、ハーッ、ンっ、フゥ、フゥー……」
出したい。奥に。この雌を孕ませて、自分の番にする。もうそのことしか考えられなくなっている。
(七海さん、かわいい。もう出ちゃうんだ。必死になって腰フリフリして、かわいいなあ♡)
必死になる七海を見て彼女は得も言われぬ甘美な心地に浸っていた。普段は理性的な男が性的な思考に囚われて前後不覚になっている。それも自分のせいで。それが嬉しくてたまらない。もっといっぱい、気持ちよくなってほしい。お互い全部を曝け出して、めちゃくちゃになってしまおう。
「出るッ、イく、イクイク! 出すッ」
「いいよ。きもちいいね。だいすき。いっぱいだして♡」
こんな快感、今まで感じたことが無い。何度出しても足りないくらいに、もっと彼女を感じたい。二人で登り詰めて性的な快楽に浸り続けたい。明日も明後日もその先も。これからずっと永遠に。
射精を終えてわずかに頭がはっきりした七海が彼女の中からずるりとペニスを引き抜くと、精液だまりにはたっぷりと白濁が溜まっていた。彼女の穴は七海の形になってしまったのか緩く口を開けたままだ。しばらくするとヒクヒク痙攣しながら名残惜しそうに閉じて、中の蜜がだらりと流れてきた。それを見ているだけで肉棒はビクンビクンと震えて、次の快感も我が物にしようと再びそそり立つ。七海はゼエゼエと肩で息をしながらコンドームを外してまた着けて、そのまま彼女に突っ込んだ。出すためだけの身勝手な動きさえも愛おしく、彼女は七海を抱きしめて腰に足を絡めた。すぐに快感の波がやってきて、ラテックスの薄皮越しではあるが、彼女の最も深い所に思いきり押し付けて、最高に気持ちよく性を吐き出した。
後片付けが終わってぐったりとベッドに倒れていたら、彼女が七海の背中を撫でて「いっぱい出してえらかったね」と呟いた。
「……すごく、気持ち良かったです」
七海が答えると彼女は口元を綻ばせ、流れる汗をタオルで拭った。時刻は午前十時四十五分。昨夜からほとんどまともに会話をしていない。それなのに二人の距離がぐっと近くなった気がして、七海は幸せな気持ちでいっぱいになった。
二度目のシャワーを終えて二人はソファに横並びになりながら手作りのレモネードを飲んだ。朝から体力を消耗してしまったが、爽やかな酸味と仄かな甘みが身体中に染みわたる。微炭酸が喉をキュッと刺激して身も引き締まった。七海が大きなため息を吐いて彼女の肩を抱いた。身体の火照りはすっかり冷めて落ち着きを取り戻したようだ。
「朝食も済んで一段落しましたね」
「ちょっと休憩しましょう」
そう言って彼女は大きく伸びをした。それから脱力してクタッと七海へと身体をあずけると、七海の胸の鼓動が聞こえてきた。さきほどは落ち着いたと思ったのに、規則的な心音はドクンドクンと早く、身体はじわじわ熱くなっていく。
「無理です。ランチの前に、少しだけ」
ほっとしたのも束の間。七海は全く落ち着いてなどいなかった。当然だ。落ち着けるわけが無い。やっと手に入ったのだから隅々まで堪能しなければ。彼女の方もどうやら同じ気持ちらしい。ソファに倒れ込んで唇同士を触れ合わせながら、さっき着たばかりの服を次々に脱いで、性急に性器同士を繋ぐ。次に時計を見たら午後一時を回っていた。
テーブルに並ぶのは少し硬くなってしまったバゲットにハムやチーズを乗せて作ったオープンサンド。簡単な昼食を済ませた二人は、夕食の相談をしていた。七海が飲み物を取りに行こうと席を立つと、彼女が胸の中に飛び込んできた。ぐりぐりと頭を押し付けながらベッドに行きたいのだという。さすがに疲れただろうと思い、どうぞと答えたら、違う、一緒に行くんだという。もじもじと内股をこすり合わせながら七海の手を引き、朝起きたまま整えられていないベッドに七海を寝かせた。彼女が上になり唇と指で全身をくまなく愛撫する。自分の身体とは違って無駄な肉は一切無く、引き締まっていて美しい。盛り上がった胸筋はもっと硬いかと想像していたのに、予想外に柔らかく触り心地がいい。その先端についている小さな実はとても敏感で、舌先で優しく舐ってやれば悦んで下半身をヒクつかせる。割れた腹筋をなぞって、凹んだ臍の穴を突いたり、脇腹を食んだり、尻たぶを撫でたりしても気持ちいいらしい。彼女が七海にしてもらったように、時間をかけてほぐしてやる。時折漏れる可愛い吐息は、尻の穴から陰嚢までの縫い目を舌で愛したときから耐え切れなくなったのか明確に喘ぎ声を出すようになった。そんな七海が可愛らしくて仕方がない。もっと気持ちよくなってほしい。彼女の奉仕は長い時間続き、七海はその間与えられる快感をひたすらに受け続けてどうにかなってしまいそうだった。
ようやく彼女が足のつま先までの愛撫を終えたとき、七海は天にも昇るような心地になっていた。射精とは違い、腹の底からじわじわと温まるような感覚を初めて知った。今度は自分の番だと、震える身体をなんとか起こして彼女も同じように愛してやる。享楽にふけり、気づいたときには午後三時半。旬のフルーツがたっぷりと乗った有名店のタルトがあったのにおやつの時間が過ぎてしまった。ようやく二人が一つになったとき、今までとは違う気持ちよさに気付く。オーガズムを目的としない触れ合いは心がとても満たされる。愛する人と抱き合って見つめ合う。幸せとは何かと聞かれたら、今日のこの瞬間を思い出すだろう。
とはいえ挿入すると強烈な快感が押し寄せてもっともっと欲しくなる。がっついてすぐに終わってしまっては勿体ないと、じっくり楽しむ為に七海は緩やかな抽挿を繰り返しながら彼女の肉ひだの柔らかさを愉しんだ。彼女はというと、七海の下でもどかしい刺激にやきもきしていた。さきほどから奥に進んでくれず、一生懸命誘導しようと腰を振っても逃げられてしまう。
「んっ、んっ、も、七海さんッ」
「何か」
入ってすぐの浅い所で出したり入れたりじっとしたりしながら、乳房の先を吸っている七海を目を細めて睨む。全く動じていない様子に加えて、わざとらしく小首をかしげた。すぐに視線を結合部に移し、膣口を亀頭で擦り合わせてくちくちと音を立てながら凝視している。
「も、あの、出ちゃいそうなんですか……?」
「いいえ。アナタのふわふわした部分を楽しんでいるんです」
透明の分泌物同士を混ぜ合わせ、ゆっくりと離れると離れないでと名残惜しそうに糸を引いて欲しがった。何度もセックスを愉しむうち、彼女の入り口も中も奥の方もすっかり七海の形を覚えてしまっている。ひくついて欲しがる彼女の割れ目に七海が中指を入れると、念願叶ったと一瞬強く締まったものの、想像していた刺激と違うとわかれば一気に締め付けが緩んだ。
「ちが、そ、じゃなくて……!」
彼女が上体を起こして七海の指を引っこ抜き、少し勃ちが緩くなった肉棒を自らに誘導する。いとも容易く入っていったのに、七海は途中で侵入を止めた。
「真ん中の緩んだ所、柔らかくて最高です」
「ンっ、あっ、ちゃんと、してくださいっ」
「必死になって下から腰振りして、かわいいですね」
何度も焦らされ思い通りにならず、耐え兼ねて必死に七海の下敷きになりながら腰を揺らした。意地悪くタイミングをずらしてやると、ついには顔を真っ赤にしながら七海を突き飛ばし、ひっくり返して馬乗りになった。
「いじわる、だめですッ」
「おや、上に乗ってくれるんですか」
言い終わる前に彼女の中には七海のものが埋まっていた。割れた腹筋に手を付き、大きく足を開いてめちゃくちゃに動き快感を貪る。バチバチと肌がぶつかる音と彼女の荒い息だけが響き渡っているのを聞きながら、七海は堪え切れず愉悦を露にして笑ってしまった。たっぷりとした尻の肉を掴んで補助してやろうと思ったのに、「やだっ♡」と言って手で振り払われた。たわわに実った胸をぷるぷると震わせ、先端は刺激を欲して熟れているから抓んでやったら「七海さんはじっとしてて♡」と言う。欲張って身勝手な動きをする彼女が可愛らしく、ずっとこうして眺めていたい。幸い七海のいやらしい視線は彼女にはバレていない。目を瞑って懸命に腰を打ち付け、迫りくる快楽を余すことなく感じようと集中しているからだ。いよいよというところで腰振りが更に激しさを増したときリズムが崩れてしまい、彼女の中を埋めていた肉棒がぶるんと抜け出てしまった。慌てて掴んで角度を整え、一気に奥まではめ込んだら「はあァ~♡」と心底嬉しそうに顔を蕩けさせてすぐに律動を再開する。身体を支えきれず前に倒れてしまい、七海に抱き着きながら泣きそうな声を出した。
「もっと、これ、欲しッ、の! いっぱい、えっちして、きもちくなりたいっ♡」
「一生懸命頑張って動いて、気持ちよくなりましょうね」
それから全身が強張ったと思ったら、下半身がビクビクと痙攣して深い快楽の底に沈んでいった。七海の唇に自身の唇を押し当てて、じゅるじゅると音を立てながら唾液を貪る。口の端から流れてくる液体を啜りながら、彼女はもう一度果てて、ぐったりと倒れ込んだ。イッたら強く引き締まって、その後はうねって搾り取ろうとしてくる。脱力した今、ぴくぴくと中の肉が不随意に動いてはいるものの、穴はすっかり緩んでしまった。ふわふわとビクビクの感触がたまらず、七海はゆっくりと出し入れをしてしまった。口が塞がっているので言葉にならないが、彼女は七海に向かって何か文句のようなものを言っているらしい。ようやく意識がこちら側に戻って来たとき、彼女が言う。
「ななみしゃん、らめれす♡」
上の口は駄目だというが、下の口はギュっと締まって七海を誘う。当然止まることなどできず、じっくりと彼女の穴の中を楽しみながら、七海も限界を迎えて一番深いところ目掛けて精を吐き出した。時刻は午後五時半。夕食の準備をしなければ。
彼女が下半身の違和感に気付いて目を覚ましたら、横向きに寝転んだまま後ろから七海に犯されているところだった。
「目が覚めましたか」
「おはよ、ございま、すッ……♡」
一瞬混乱したもののあの後寝落ちしてしまったと気付き、彼女は必死になって状況を把握しようとしていた。イキたくてイキたくて堪らず、七海を肉バイブにして好き勝手に弄んでいた先刻。七海が奥の方に先端を擦り付けたとき、今まで味わったことの無い強烈な快感がやってきて意識を飛ばしてしまったのだった。その後どれくらい気を失っていたのかはわからないが、七海はまだ彼女の中をいじめていたらしい。
「全く貴女が足りない。もっとください。全部食べたい」
「ななみしゃ♡ トイレ、行かせてくらしゃいっ♡」
中から押されて尿意を感じ、今にも漏れてしまいそうな感覚が背筋をぞわぞわさせた。足をばたつかせて抵抗しているのに、後ろから力任せに抱きすくめられて身動きがとれない。
「ちょっと、待って。これ、終わったらッ……」
「やだァ、出ちゃうっ♡」
「おもらししても、平気です」
「私が、いや、なのっ♡」
必死にあがいてみても七海の力に敵うわけなどなく、もぞもぞ動いて更に奥深くへと導いてしまっただけだった。耐えがたい快感が押し寄せる気配を感じ、彼女は腰を突き出して必死に逃れようとした。抵抗虚しく七海に腹の下を抑え付けられ、絶頂に達する。
「ぅ……、出るッ!」
同時に七海が唸ったと思ったらわざと前の方目掛けて肉棒を押し込んできた。彼女からあふれ出た液体が七海のベッドを汚す。申し訳なくてぐずぐず泣いていたら、バスタオルを敷いているから大丈夫だと的外れな慰めをしてきたので、彼女は七海の胸の中から逃げ出してペチペチと七海の腕を叩いてプリプリと怒った。
時計を見たら午後七時になろうかというところ。さすがに腹が減った。
常備菜として作っておいたきのこのオイル漬けがあってよかったと、冷蔵庫を開けた時に七海は思った。ドアを開けた途端に漏れ出てきた空気が肌を直接撫でて妙な気持ちになる。本当は今夜、近所の窯焼きピザが美味しいレストランへ行こうと考えていたのだ。昨夜から今まで、休むことなく愛し合っていて気が付けば夜。何度着替えても脱いでしまうので、もう彼女は着替えるのが面倒になってブランケットを羽織るだけになってしまった。向かい側からにんまりと笑い、キッチンで料理をする七海の姿をねっとりと眺めている。
「と~っても似合ってます♡」
「いったい何が楽しいんだか……」
「七海さんって何してても素敵です♡」
「だからって裸エプロンだなんて、どうかしてる」
七海が文句を言いながら屋久島から取り寄せた出汁醤油を探すために後ろを向いたとき、キュっと引き締まり筋肉質な尻が丸出しになった。それを見て彼女は「わあ♡ えっち♡」と言って満面の笑みを浮かべ舌なめずりをした。背中はがら空きで背筋が真っ直ぐ通っているのが見える。クロスする紐が拘束具のように見えて、思わずフフフと声を漏らしてしまった。前を向いたら胸や下半身は隠れてしまうが、その下を想像すると胸がどきどきと音を立てはじめる。本人はすこぶる嫌そうな顔をしているくせに、エプロンの下の方を見ると固くなった肉棒がこっそりと主張している。満更でもないのでは、と彼女は思い、にやにやといやらしく笑った。そんな彼女を見て、七海はますます眉間に皺を寄せた。しかし下半身はビクリと震え、エプロンに擦れるもどかしい刺激を愉しんでいるようだ。大きなため息をついて、きのことパスタが入ったフライパンにだし醤油を絡めた。食欲をそそる良い香りが立ち昇り、途端に空腹感に襲われる。同じタイミングで七海と彼女の腹の虫が鳴いたので、セックスは一旦お預けだ。
いつの間にか自分だけTシャツを着ていた彼女は、パスタをぺろりと平らげごくごくとミネラルウォーターを飲み干した。美味しい美味しいと繰り返し、にこにこ嬉しそうにする姿に心が和む。続いて七海も食べ終え、後片付けをしようとシンクの前に立った。後ろから彼女がついてきたと思ったら七海の腰に抱き着いて、エプロンの上から落ち着きを取り戻した男根をゆるゆると撫ではじめる。
「私、まだ足りないんです♡」
「……いやしんぼなんですね。知りませんでした」
「七海さんは、もうお腹いっぱいですか?」
「実は私も、まだまだ食べ足りない」
「じゃあこれ、また、食べさせて♡」
すっかり食べごろになった肉棒を扱き上げ、彼女が笑う。
七海は腹の底に力を入れて、彼女の腹の肉にかぶりつきたい衝動を必死に抑えた。
時刻は午後八時半。
二人の空腹を満たすには、もう少し時間が必要だろう。